韓国の鉄道は赤字を抱えて利用料金を安価に設定しています。ソウル地下鉄も例外ではなく、赤字続きで「もう限界」となっています。
先にご紹介したとおり、保守系の呉世勲(オ・セフン)現市長は「政府からの支援がなければ料金は値上げするしかない」と訴えているのですが、政府からの支援表明はありません。
Money1でもご紹介しましたが、ソウル市地下鉄は呆れることに「輸送原価」を割った料金設定になっています。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。[基本運賃] 10km以内 : 1,250ウォン
[追加運賃]10km~50km以内:5kmごとに100ウォン追加
50kmを超過した場合:8kmごとに100ウォン追加⇒参照・引用元:『ソウル交通公社』公式サイト「運賃案内」
上掲のとおり、ソウル地下鉄の基本運賃は「10km以内:1,250ウォン」です。で、コストがいくらかというと……。
輸送原価:1,988ウォン
「1,250ウォン」しか料金を取っていないのに、原価は「1,988ウォン」です。
つまり、基本運賃をとっても「738ウォン」の赤字。人を運べば運ぶほど赤字が膨らむ料金体系です。
料金は原価の62.9%にしかなっていないのが現状です。
2015年には輸送原価が「1,270ウォン」でした。つまり2015年時点では(料金は2015年から据え置き)、輸送原価の98.4%をカバーできていました。
韓国では鉄道料金は一種の社会保障になっている節があって、安くなければいけないという風がありますが、これぐらいなら公的な負担も少なくて済みました。
ところが、原価の47.1%も公的負担となってもう限界です。
ソウル市では、少なくともこの原価に対する割合を80%水準まで引き上げることを検討しています。80%ということは、1,590~1,600ウォンにするということです。差額でいえば340~350ウォンです。
ざっくり10分の1にして、日本円で「34~35円」。
さっさと上げてしまえばよさそうなものですが、値上げが決定するまで半年はかかると予測されています。その間も赤字はたまっていくのです。
(吉田ハンチング@dcp)