2022年05月16日、韓国の通貨、株式、債券のどれもが安くなりました。またトリプル安です。
以下をご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:以下同/上げ下げが分かりやすいように折れ線チャートです)。
まず通貨。ウォン安が進行しました(2022年05月16日16:59現在)
次に株式(KOSPI/2022年05月16日15:30現在)
最後に国債(韓国債3年物/2022年05月16日15:49現在)
というわけで見事にトリプル安となったわけですが、韓国メディアからは『韓国銀行』李昌洋(イ・チャンヤン)総裁の発言のせいだという指摘が出ています。
新総裁の発言は原則論と韓銀が釈明に追われる
というのは、李昌洋(イ・チャンヤン)新総裁が記者懇談会で「ジャイアントステップ(規準金利を0.5%上げること)はあり得ますか?」と聞かれて、「ビッグステップを完全に排除できるかどうかを申し上げることができる段階ではない」と答えました。
これが「0.5%一気に上げるのを否定しなかった」、つまり「上げるかもしれないよ」と言った――と捉えられたのです。
実際、16日朝の『朝鮮日報』は「0.5%金利引き上げの可能性を示唆」と報じました。
韓国では規準金利を一気に0.5%(=50bp)上げたことはありません。1950年の『韓国銀行』創設以来一度もないのです。
そのため、もし上がるとその影響は大きなものになると予想されるのです。
――で、当然報道が出た16日に、その可能性を織り込んで市場が動き――トリプル安になったため、韓国メディアが「うーん、もう!」と恨み節の記事を出した、というわけです。
例えば、韓国メディア『ソウル経済』では「中国の実体経済が悪化したこともあり……」と書いていますが、以下のようにも指摘しています。
(前略)
この日の午前、李総裁がビッグステップの可能性を開けておくという趣旨の発言をしており、市場の懸念を反映したのものと分析される。
(後略)⇒参照・引用元:『ソウル経済』「코스피, 2600선 하락 반전…한은 ‘빅스텝’ 발언·中 실물지표 부진에 투심 위축」
李昌洋(イ・チャンヤン)総裁は、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)のアジア・太平洋局の局長を務めた人で、その立場なら韓国の利上げについて述べれても、いわば外部のアナリストの発言ですから、このように恨み節の記事は出なかったでしょう(いや出たかな)。
しかし、今回は当事者ですから。「あんたの胸三寸じゃん」なので発言には細心の注意を払わなくてはなりません。
同紙は「以後、関連懸念が大きくなると、韓銀は『原則論』的な次元の発言だった』と釈明に乗り出した」と書いています。
『韓国銀行』の新総裁、李昌洋(イ・チャンヤン)さんはまだどこか韓国経済について「自分ごと」と認識していらっしゃらないのかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)