韓国に誕生した尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が警察庁の統制を強化する方向で動きだしました。
これは、先に『共に民主党』が強行に通過させた「検察から完全に捜査権を剥奪する法案」の影響です。
野党『国民の力』は同法案を通さないため、フィリバスターを行いましたが、『共に民主党』の政治的策術によって封じられ、成立してしまいました。また、文在寅大統領は予定どおりだんまりで拒否権を行使もせず、でした。
これによって、検察は、反腐敗、経済についてのみ捜査権を持つようになりました。他の犯罪についての捜査権は警察に移管することとなったのです。
しかし、尹政権もやられっぱなしではありません。反撃が始まりました。
警察庁は戦々恐々な状態
新たに行政安全部の長官となった李祥敏(イ・サンミン)さんが、2022年05月16日、初の「警察制度改善諮問委員会」を開催しました。
この李祥敏(イ・サンミン)さんは、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんの「沖岩高等学校・ソウル大学法学部」での後輩に当たり、弁護士出身です。
また、警察庁は基本的に行政安全部に所属しています。
ですから、尹大統領が意の通じた後輩をコマンドラインのTopに据えて行政安全部経由で警察庁をコントロールしようとしていると見て間違いありません。
先にご紹介したとおり、韓国の検察庁と警察庁は伝統的に仲が悪いのです。
警察庁は、長年犬猿の仲だった検察庁が捜査権のほとんどを失ったことについて、内心快哉を叫んでいるかもしれませんが、このままでは捜査の人員が足らず、1件当たり十分な捜査が行えないこと必至です。
結果としてこれは国民に迷惑をかけることになりかねません。
検察庁からすると、そもそも同法には反対していましたし、捜査権を奪われたことに対して悪感情を持っています。尹大統領としては、文政権の積弊を清算するためにも古巣の検察(検察が持つ捜査ノウハウ)を使いたいところです。
「秘蔵っ子」も法務部長官になるし……
といった背景の下、警察庁側は、尹政権が「検察から捜査権を完全に剥奪する法律」を迂回するための手段を講じるのではないか、組織に手を突っ込まれるのではないか、と戦々恐々としています。
警察庁が心配になるのも無理はないのです。
「検察から捜査権を完全に剥奪する法案」が通過してから、尹政権は「警察庁の扱いを格上げして長官を置く」という公約を棚上げしました。明らかに同法の影響です。
また、先にご紹介したとおり、間もなく尹錫悦(ユン・ソギョル)さんの秘蔵っ子である韓東勳(ハン・ドンフン)さんが法務部長官に強行任命される予定でもあります。
法務部長官を押さえたら、本格的に反攻作戦が開始されるでしょう。尹大統領と参謀たちは着々と手を打っており、なかなか楽しみな展開になってきました。
※本記事のアイキャッチ画像は韓国の検察庁舎です。
(吉田ハンチング@dcp)