先にご紹介したとおり、韓国メディアは「日本の経常収支が赤転するかも」という鬼の首でも取ったような記事を出しました。
しかし、韓国は自国の心配をした方がいいのです。日本の場合は「2022年に……」ですが、韓国の場合には2022年04月に経常収支が赤転する可能性があるからです。
まず、通関ベース(くれぐれもこの点にご注意ください)で締まった2022年04月の輸出入実績を再度確認してみます。
2022年04月
輸出:576億8,600万ドル(+12.6%)
輸入:603億4,700万ドル(+15.0%)
貿易収支(輸出 – 輸入):-26億6,100万ドル※( )内は対前年同期比の増減
⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「2022年4月の輸出入動向」
通関ベースでは「-26億6,100万ドル」と赤字。この程度の赤字は国際収支統計では黒転するはずです。
先にご紹介したとおり、これが-50億ドル規模であれば、国際収支統計でも赤転しますが、「約-27億ドル」で済んだため、恐らく貿易収支は黒字になります※(ただし黒字規模は大きくならない/薄い黒字)。
問題なのは、貿易収支が薄い黒字で経常収支が黒字になるか?です。
Money1では2019年ぐらいからご紹介していますが、「残酷な四月」は巨額の配当払いが発生し、韓国からの資金流出が大きくなります。
これは、国際収支統計上では「第一次所得収支」の赤字となって現れます。
韓国は、以下のような構造で経常収支を黒字にしています。
サービス収支:赤字
第一次所得収支:黒字
第二次所得収支:小さな赤字
経常収支(上記4つの合計):黒字
具体的な数字を見てみましょう。2021年01月~2022年02月の月次での平均値は以下のようになります。
2021年01月~2022年02月の月次平均
貿易収支:58億720万ドル
サービス収支:-2億1,650万ドル
第一次所得収支:16億3,660万ドル
第二次所得収支:-3億2,470万ドル
経常収支(上記4つの合計):69億270万ドル⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト
分かりやすいようにウォーターフォール図にすると以下のようになります。
一見して分かるように、貿易収支が十分に大きくないと韓国の経常収支は黒字になりません。それが04月には、貿易収支が薄い黒字になり、第一次所得収支が赤字になります。
つまり、04月には以下のようになるかもしれない、と予測されるのです。
これが、経常収支が黒字になるのか?――と懸念される理由です。
ですから、韓国は日本のことより自国のことを心配すべきです。なにせ04月に赤転する可能性がまだあるのですから。
ただ、筆者には04月の国際収支統計を「薄くてもいいので黒字」にしようとしているように見えます。
※なぜこのようなことになるかはMoney1の過去記事を参照してください。念のために書きますがインチキというわけではないのです(もちろんインチキを行っている可能性だってありますけれども)。
(柏ケミカル@dcp)