面倒ですが国際収支統計の話
面倒な話がイヤな方にとってはご退屈かもしれませんが、少し「国際収支統計」についてご紹介します。知っていると、世界各国のデータを見てなで切りに経済状況を知ることができるのでとても面白いのです。ほんの少しですのでどうかお付き合いをください。
韓国メディアでも『韓国銀行』から「国際収支統計」の発表の中の「経常収支」について取り上げます。国際収支統計は、
・資本等移転収支
・金融収支
・誤差脱漏
という4つの要素から成っています。この中でなぜ経常収支のデータを取り上げるのかというと、経常収支を見れば、韓国が海外との取り引きの結果もうかっているのか、そうでないのかが分かるからです。
国際収支統計は複式簿記のコンセプトの下に作られており、
という式が成り立ちます(そういうものかという理解で十分です)。資本移転等収支は非常に小さいため(国によります)、ざっくりいえば、
経常収支 – 金融収支 + 誤差脱漏 = 0
となります。「誤差脱漏」というのは「誤差」を調整するための項目です。一国の収支ですので、どうしても数字が合わないということが起こります。そのために「誤差脱漏」という項目を設けてあり、合わない数字はここで調整するのです。
ですから、誤差が全くなければ、
経常収支 – 金融収支 = 0
です。つまり、経常収支と金融収支はほぼイコールになるのです。ですから、経常収支を見れば金融収支の規模はほぼ分かります。また、経常収支が分かればその国が海外との取り引きでもうかっているのかどうか、どのような取り引きでもうかっているのかが分かるというわけです。
ちなみに、アメリカ合衆国は経常収支が莫大な赤字です。なぜそれで国が成立しているのかといえば、莫大に金融収支がマイナス(莫大に資金が流入する)で、
「マイナスの経常収支」 – 「マイナスの金融収支」 = 0
になるからです(「-」「-」で「+」になって等式が成立する)。つまり合衆国は莫大な経常収支の赤字を莫大な資金流入によって埋め合わせるという構造になっているわけです。
2020年の韓国の経常収支
韓国の2020年累積の経常収支は以下のようになっています。
サービス収支:-161億9,010万ドル
第1次所得収支:120億5,030万ドル
第2次所得収支:-25億2,970万ドル
経常収支:752億7,570万ドル
経常収支は、「貿易収支」「サービス収支」「第1次所得収支」「第2次所得収支」を足したものですが、韓国の2020年は「752億7,570万ドル」。
これを1カ月平均にすると、以下のようになります。
貿易収支:68億2,880万ドル
サービス収支:-13億4,920万ドル
第1次所得収支:10億420万ドル
第2次所得収支:-1億1,080万ドル
経常収支:62億7,300万ドル
この平均金額を図示すると以下のようになります。
上掲のとおり、韓国の経常収支は、
サービス収支:赤字(-)
第1次所得収支:黒字(+)
第2次所得収支:赤字(-)
です。「サービス収支」「第1次所得収支」「第2次所得収支」の合算では「約-5.6億ドル」ですから、韓国はとにかく貿易収支に頼っており、このもうけ(黒字)がなければ成立しない国であることが分かります。
また「貿易収支」は「輸出 – 輸入」ですので、輸出こそが韓国を支えているというわけです。
ですから、韓国政府、『韓国銀行』、韓国メディアは何より輸出金額の大きいことを重視しているのです。
(吉田ハンチング@dcp)