2020年08月07日、『中央日報(日本語版)』に面白い興味深い記事が出ました。「韓国企業『ビッグ4』がサプライズ業績…日本ライバル企業を圧倒」という大変に勇ましいタイトルの記事です。
『日経ビジネス』が持ち上げた韓国四天王!……あれ1人いなくなった
2010年に『日経ビジネス』誌が、韓国企業特集を組んで『サムスン電子』『LG』『現代自動車』『ポスコ』を「韓国の四天王」と称して持ちあげた――そうです。
当時流行っていた「韓国企業を見習え」的なご高説だったのでしょう。
2010年は、2008年に起こったリーマン・ショックから立ち直る時期でした。
リーマン・ショックから10年たって、今度は新型コロナウイルス騒動です。
『中央日報(日本語版)』の同記事では、10年前と同じく韓国企業の「危険克服DNA」(なんだこりゃ)は受け継がれており……と以下のように述べています。
(前略)
韓国代表企業は最近、世界的に新型コロナ感染が広がった後、初めての業績を発表した。2020年04-06月期の業績には危機に強いDNAがそのまま刻まれている。
サムスン電子、LG化学、SKハイニックス、現代車の4大企業の業績はライバル関係の日本企業を圧倒した。
(後略)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
まず、『日経ビジネス』が四天王で挙げた中の『ポスコ』はどうしたん?と思うでしょう(笑)。
売上高:5兆8,848億ウォン(前年同期比:21.3%減少)
営業利益:▲1,085億ウォン(前年同期比:115.1%減少)⇒参照・引用元:『ポスコ』公式サイト「IR Activities」
▲はマイナスの意味です
上掲のとおり、ポスコ史上初の四半期赤字に転落しております。
同記事で紹介するには都合が悪いので、そっと外して半導体で第2四半期の決算が良かった『SKハイニックス』を入れたのです。
『現代自動車』が善戦して日本企業を圧倒した!と以下のように述べています。
(前略)
現代車が最も振るわず、52%減だった。しかしこれも日本のライバル企業を圧倒した。トヨタの利益は98%減少し、ホンダは赤字を出したと推定される。
(後略)
なかなか威勢の良い書きっぷりです。本当かどうかデータを確認してみます。
『現代自動車』の2020年第2四半期の決算を見ると以下のようになっています。
売上高:21兆8,590億ウォン(18.9%減少)
営業利益:5,900億ウォン(52.3%減少)
当期純利益:3,770億ウォン(62.2%減少)⇒参照・引用元:『JETRO』「ビジネス短信」
次に『トヨタ』です。
売上高:4兆6,007億9,600万円(前年同期比:40.4%減少)
営業利益:139億2,000万円(前年同期比:98.1%減少)
当期純利益:1,588億4,300万円(前年同期比:74.3%減少)
確かに、営業利益の減少率では、『トヨタ』は「98.1%」、『現代自動車』は「52.3%」と、『現代自動車』の方が減り幅は少ないです。
しかし、分かりやすいように円に換算して表で比較してみましょう。※2020年08月08日のレート「1ウォン=0.089円」を使用
現代自動車 | トヨタ | |
売上高 | 1兆9,455億円 | 4兆6,008億円 |
営業利益 | 525億円 | 139億円 |
当期純利益 | 336億円 | 1,588億円 |
この結果で、『現代自動車』が『トヨタ』を圧倒しているといえますかね。
事実はむしろ逆で、
営業利益が98%減ったにもかかわらず当期純利益を「1,588億円」にまでもっていった『トヨタ』の豪腕は、『現代自動車』を圧倒した
が正しいのではないでしょうか。
筆者的には、
「韓国の四天王が現れた!」
「あれ……一人いねえな」
みたいなコントが見たいですな。
(吉田ハンチング@dcp)