「韓国経済に灰色のサイ」しかも複数いる。「パーフェクトストーム」は避けられるか

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韓国メディアで最近「灰色のサイ」(grey rhino:グレイ・リノ)という言葉を見るようになっています。

経済・投資関連のニュースではこの「灰色のサイ」やら「ブラックスワン」やらが登場します。

ずいぶん前にご紹介しましたが、「灰色のサイ」とは「よくあることではあるが、大きな問題を引き起こすにも関わらず普段は見過ごされがちなこと」という意味で、リスクについて語るときに用いられます。

「灰色のサイ」がいるぞ!

例えば、2021年10月01日の『朝鮮日報』には「経済トップの警告『韓国経済から灰色のサイを取り除く』」、10月04日、『韓国経済』には「韓国経済『灰色サイ』と『パーフェクトストーム』の候補は?」という記事が出ています。

「灰色のサイ」と言いたいだけなのではないのか、という気がしないでもないですが、どうも韓国経済についてはサイがうろうろしているようです。

では、韓国経済につきまとっている「よくあることではあるが、大きな問題を引き起こすにも関わらず普段は見過ごされがちなリスク」とは具体的に何を指しているのでしょうか。

「灰色のサイ」の正体は何?

『朝鮮日報』の記事では、「複数のサイがいる」と報じています。

灰色のサイが一匹ではないことが問題だ。

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「経済トップの警告『韓国経済から灰色のサイを取り除く』」

同記事では以下のような件を挙げています。

・コロナの後、短期間に急速に上がった株価不動産価格が、予告されたアメリカ合衆国『FRB』のテーパリング(資産買い入れ縮小)によって調整される可能性が高い

・不動産投資、信用取引による株式投資などによって醸成された資産バブル

・世界的なインフレ懸念による利上げ

・利上げによる家計負債の不良債権化

・直近の実体経済の悪化傾向
(韓国企業の景況感は悪化しています)

データ引用元は同上

どれもこれもMoney1でもご紹介してきたものばかりですが、「灰色のサイ」は多いですね。しかし、同記事では「最大の問題は債務の爆弾」と書いています。

パーフェクトストームが来るかもしれない

『韓国経済』の記事の方は、「灰色のサイ」に「パーフェクトストーム」まで入っていますが、これは灰色のサイを放置すれば「パーフェクトストーム」を引き起こしかねないという内容の記事です。

先にご紹介しましたが、この「パーフェクトストーム」は、2021年08月06日、金融監督院の新院長に着任したジョン・ウンボ新金融監督院長が韓国経済が危ないとして使った言葉です。

「限界企業・自営業不良の拡大の可能性、バブル崩壊の懸念が提起されている資産の価格調整など、さまざまなリスクが一時に集中してくる、いわゆるパーフェクトストームが発生することもある」と述べましたので、同院長は、

・限界企業(営業利益で債務の利子払いも行えない企業)の増加

・破綻する自営業者の増加

・資産価格の調整局面(資産バブルの崩壊)

などを「灰色のサイ」と考えているわけです。ですので、まあ同じことを指摘しています。

というわけで、経済のトップである洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官と金融監督院院長は、韓国経済には「灰色のサイ」が徘徊しており、放置すると「パーフェクトストームだ」と考えているのです。

だからこそ躍起になって家計負債の急増を止めようとしているわけですが、これが信用収縮を引き起こす可能性もあり、またテーパリングが実施されれば資産価格の調整局面がきて、信用収縮を起こすでしょう。いずれにせよ時間の問題――という考えはいけませんでしょうか。

「灰色のサイ」とは?
投資関連のニュースでは、ときに「何それ?」と思うような言葉が登場することがあります。Money1でもかつて紹介したことがある「ブラック・スワン」「ゴルディロックス」「ヒンデンブルグ・オーメン」などはその代表格といえるかもしれません。そのよう...

(吉田ハンチング@dcp)

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