佐藤ボイラー(バカ)の初めての株式投資を検証する「大反省会会場」です。前回までで3銘柄について終わりました。今回はラストの「モブキャスト」(銘柄:3664/東証マザーズ)です。モブキャストについて反省すべきは売買タイミングだけではないようです。
■ファンダメンタルは確認したのか!?
吉田ハンチング さて最後はモブキャストだね。
佐藤ボイラー モブキャストも一応「5%」の利益を出しましたよ。
吉田ハンチング まあ結果はそうなんだけど。なぜこの銘柄を選んだのかはオレは疑問だなぁ。
佐藤ボイラー それは他の3つの銘柄と同じように「乖離率」「RSI」「ボリュームレシオ」で検索して……。
吉田ハンチング そうなんだろうけど、それはテクニカル指標(INDEX)の話だよね。ファンダメンタルは確認したのかな? モブキャストって基本赤字の会社だよね。
佐藤ボイラー ああ……確認してませんでした
吉田ハンチング いくら短期の投資とはいえ、赤字の会社というのはそれなりのリスクがあると考えないといけないんじゃないかなぁ。もしオレだったらいくらINDEXで「売られすぎ」と確認できたとしてもファンダメンタルがしっかりしてない会社には投資しない。
佐藤ボイラーがモブキャストの株を購入した01月10日の時点で確認できた決算データを見てみると、
2016年第3四半期
売上高:7億1,000万円
営業利益:▲7,600万円
経常利益:▲6,900万円
当期純利益:▲7,000万円
⇒データ出典:『モブキャスト』公式サイト「第13期2016年12月3Q決算説明資料」
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material&sid=60971&code=3664
となっている。念のためにいっておくけど▲はマイナスだからね。
佐藤ボイラー 赤字ですね。
吉田ハンチング その前の四半期、第2四半期までの連結も赤字で、
2016年第2四半期まで連結(2016年01月01日-06月30日)
売上高:16億3,900万円
営業利益:▲5,100万円
経常利益:▲8,600万円
四半期純利益:▲1億9,950万円
⇒データ出典:『モブキャスト』公式サイト「第二四半期報告書」
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2409091
となっている。これを連結して第三四半期までの結果を見てみると、
2016年第3四半期まで連結(2016年01月01日-09月30日)
売上高:23億5,000万円
営業利益:▲1億2,800万円
経常利益:▲1億5,500万円
四半期純利益:▲2億6,900万円
⇒データ出典:『モブキャスト』公式サイト「平成28年12月期第3四半期決算短信」
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1417605
とかなりの赤字会社であることが分かる。第3四半期までの結果を見ると、第4四半期によほどのことがないと黒字になならないよね。さらにちなみに前期(第12期・連結)はどうだったかというと、
第12期
売上高:39億1,312万円
経常利益:▲4億7,131万円
当期純利益:▲16億5,800万円
⇒データ出典:『モブキャスト』公式サイト「有価証券報告書」
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2345849
でかなりの赤字を計上している。投資対象としてのファンダメンタルはどうなんだろう?
――佐藤ボイラー ……なるほど。
■やっぱり遅行性のMACDを確認すべきだった!
吉田ハンチング じゃあ気を取り直して、佐藤が買った時点までのチャートを見てみよう。例によってMACDも表示する。ただしこれは「5日」「20日」の速行性のMACD。チャートはいつもどおり株マップ.comのクオンツチャートからの引用。
佐藤ボイラー ほらほら! MACDもいい感じじゃないですか。
吉田ハンチング うーん(笑)。でもまだクロスしてないんだなぁ。この日のMACDの数値は「-94.10」でシグナルは「-92.88」。でも、買いのタイミングをより正確に測るなら、毎度おなじみで悪いけど「12日」「26日」のMACDを使った方が良いことの方が多い。この遅行性のMACDで見てみると……。
佐藤ボイラー 「買い」のサインじゃないですねぇ。まだ下落局面です。
吉田ハンチング じゃあ時間を進めて「買い」のサインを確認してみよう。この遅行性のMACDがいつ買いのサインを出したかというと……。
佐藤ボイラー MACDのラインがシグナルラインを下から上へとクロスしたのが確認できたのは「01月24日」でした。
吉田ハンチング この日のMACDの数値は「-62.96」、シグナルは「-64.34」。買いを立てるのはこの日でも良かったよね。実際、佐藤が894円で購入した01月10日から株価はどんどん下がって、01月24日は、
●01月24日
始値:818円
高値:850円
安値:817円
終値:832円
だった。この日に買った方が安く買えたよね。じゃあ、佐藤が利益確定した02月09日まで時間を進めてみよう。
佐藤ボイラー 02月09日に「943円」で200株全約定となりました。利益率は「5.5%」でした。
吉田ハンチング それはとりあえず良かったけど時間かかりすぎだよね。なんと買ってから売るまで30日もかかっている。佐藤が参考にした「明地式」の「3Days投資法」からするとその主旨に反するよね。
ここからが「もし」。もし遅行性のMACDのサインどおり01月24日に買いを立てていたとしたら……。01月24日、もし佐藤が買うとしたらいくらで買ってた?
佐藤ボイラー うーん……難しいですね。この日は始値から安値まで1円しか下がってないですからね……。もしかしたら高値の850円だったかもしれません。
吉田ハンチング オッケー。もし850円だったら、5%の利益を取るための売り目標価格は、
●850円 ⇒ 5%の利益の売り目標価格「894円」
だよね。01月24日に850円で買い立てていたら894円になったのは……。
佐藤ボイラー ……翌日の01月25日です。
●01月25日
始値:828円
高値:899円
安値:828円
終値:899円
吉田ハンチング そのとおり! 01月10日に買いを立てて02月09日まで30日もかかったけれども、遅効性のMACDのサインどおりに01月24日に買いを立てていたら翌日に5%の利益を確保して手仕舞いだったわけ。「短期間で5%の利益を確保して回転を良くする」という佐藤の目標どおりだった。
佐藤ボイラー うーん……。
吉田ハンチング さて、モブキャストの売買での教訓だ。
「乖離率」「RSI」「ボリュームレシオ」という3つのINDEXで「売られすぎ」の銘柄を見つけた。でも、ファンダメンタルを確認していなかった。ファンダメンタルの悪い株はやはり値動きが鈍重だから、買ってから売るまでの時間が長くなってしまったのは、そこにも原因があると考えることもできる。だから、
テクニカルINDEXだけでなくファンダメンタルの確認を怠らないように!
が一つ。もう一つは、3つのINDEXだけでなく遅行性のMACDでの確認を怠ったために買い時が前すぎたこと。MACDのサインまで待っていれば翌日にもう利益を確定できたんだから。
佐藤ボイラー もうMACDだけ見てればいいんじゃないですか?
吉田ハンチング それがまた間違いの元。前回のイグニスを思い出してほしい。MACDは上昇しているのにだらだらと株価が下落していく局面があるから。絶対のINDEXはない、ということを肝に銘じていなければいけない。
佐藤ボイラー それは確かに。
吉田ハンチング ただ何回も言うけど、逆張りを実行するために「乖離率」「RSI」「ボリュームレシオ」の3つのIDEXで株式銘柄をスクリーニングする。これによって「売られすぎ」の株式を見つける。これはいいと思う。明地式のパクリだけどね。
佐藤ボイラー リスペクトですよ。
吉田ハンチング ただし、これまで見たようにそれだけでは「短期間に5%の利益を確保する」という目標には届かないことがある。遅行性のMACDで本当に買い時なのかを確認すべき。そうすればより低位のポジションで買いを立てることができた。そうすれば、もっと簡単に目標を達成できた。しかも全勝できた。
佐藤ボイラー うわっ、なんだか悔しいという気持ちがふつふつとわき上がってきましたよ。
吉田ハンチング もし、次があるなら今回の経験を生かしてほしいなあ、と思うけど。
佐藤ボイラー 次もやってみたいですねぇ。編集チョにスマキにされて大坂南港に沈められなければですけど(笑)。
というわけで、佐藤ボイラー(バカ)の初めての株式投資の大反省会でした。全くの初めてにしては健闘した方ではないでしょうか? 皆さんはどう思われましたか?
(吉田ハンチング@dcp)