韓国では、政府・企業・家計の3部門で負債が急増し、これが懸念されています。韓国政府、また『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)『OECD』(Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略:経済協力開発機構)が特に懸念を表明しているのは家計負債です。
南欧型の経済危機が到来するのではないか、と韓国人の学者ですら警告を発していました。
家計負債が増加しているだけではなく、高金利の中、債務返済て首が回らなくなっている人が増加しています。Money1でもご紹介してきたとおり、多重債務者が増加しています。多重債務者の人口はざっくり約450万人と集計されています。
債務返済がどのくらい大変かを示す指標としてDSR(Debt service ratio)がありますが、これが平均で39.9%。つまり、韓国の皆さんは平均でも所得の約4割が債務返済に消えていることになります。多重債務者のDSRの平均は61.5%に達します。つまり所得の約6割強が債務返済で消えるのです。
よく暮らしていけますね――という話ですが、暮らしていけない人が増加しているので、これが危機の時限爆弾と呼ばれています。
――で、どうするかですが、韓国の場合は「またぞろ徳政令なのか?」なわけです。
これに関連して、韓国メディア『中央日報』が興味深い記事を出しています。一部を以下に引いてみます。
10日、匿名を希望した金融機関の関係者は「今年末までで金利が年5%を超える個人事業者ローンに対し、1年限定で「利息キャッシュバック(支払った利息を返すこと)」を行う方式を共生金融案として検討している」と話した。
(中略)
金融機関の関係者は、「融資1億ウォンに対して年間最大150万ウォンまで利息を還元する案を複数の案の一つとして検討中」と話した。
この場合、利息減免を適用する融資額は1人当たり最大1億ウォンまでと制限され、利息キャッシュバックの絶対規模も最大150万ウォンを超えることはできない。
ただし、具体的な減免案は確定されていない。銀行ごとにどのくらいの財源で利子減免を支援するかを配分した後、それぞれの借り手を対象に正確な計算をして初めて1人当たりの支援規模を決めることができるからだ。
(後略)
韓国では個人事業主も「いつ飛ぶか」という状況に置かれていますので、金融当局が助けるべく動いているとのこと。
韓国の金融当局は、1年と期間限定ながら、年利5%以上の事業ローンを抱えている個人事業主に対して、これまで支払った利払いのうち幾らかをキャッシュバックする――というのです。
捻りが入っていますが、これも一種の徳政令といえます。
また、これは総選挙をにらんだばらまきの一つです。票を金で買おうとしており、その財源も銀行などのお金の貸し手、すなわち個人事業主へ融資を行った者に出させようというビッグな企画です。
政府の都合のいいようにお金を出させられるわけで、韓国でよく銀行業なんかやってられるわな――という話でもあります。
(吉田ハンチング@dcp)