韓国では「旧正月」(ソルナル)の連休が近づいています。2024年の旧正月は02月09日(金)~02月12日(月)で、その間は市場もお休みです。
2024年01月25日、(事実上の経営破たんで)ワークアウトに入り、債権団と会社再建について相談している『泰栄(テヨン)建設』が、
「工事現場の未払い賃金を旧正月休暇前に最大限支給する」
と明らかにしました。
「払って当たり前だ!」――という話ですが、このようなことも公表し、話題になるぐらい韓国は不景気なのです。
25日に第1次支払いとして「53億ウォン」を、31日に「277億ウォン」の第2次支払いを行うとのこと。計330億ウォンになります。
呆れることに、ざっくり1/10で日本円に換算して「33億円」も未払いがあったのです。
旧正月前に未払い金を受け取れるというので、下請けの皆さんや労働者の方々はほっと一息でしょう。
しかし、驚くのはこの未払い金の払い方です。
「工事費のうち装備費、資材費、その他の費用など」は、『泰栄建設』の売掛金債権を担保にした融資を利用して支払われます。
銀行は、『泰栄建設』に融資するお金を協力会社などに入金して未払い賃金を支払い、この融資は満期がきたら『泰栄建設』が銀行に返済します。
つまり、未払い賃金を支払うために、『泰栄建設』は新たな債務を背負い込むことになりますが、これは致し方ないでしょう。
ちなみに『泰栄建設』は、償還していない借入金が「451億ウォン」もあります。建設能力で韓国第13位といわれる会社がこのような体たらくなので、暗澹たる状況です。
1997年のアジア通貨危機時にも、最初は10位圏外の大手企業から徐々に飛んでいき、それが10位圏内の企業にも波及し……と着弾ポイントが徐々に中枢に及ぶ状況がありました。
往時の再現にならないといいですが。
『泰栄建設』は、「下請け会社の工事代金を発注先が協力会社に直接支給する直払い協議が進んでいる」としています。つまり、下請け会社に支払うべきお金を中抜きし、支払いを止めていたと告白したも同然です。
「債権団や施工会社との合意が早急に行われれば、協力会社の工事代金が直接支給されるようになり、賃金の支給も円滑に行われることが期待される」とも。
「期待される」そうです。
仕事をしてもらった分の賃金は支払って当然です。この他人事のような態度はなんなのでしょうか。先にご紹介したとおり、「韓国は賃金をきちんと支払う」という当然の行為も期待できない国です。
韓国企業と取り引きする日本企業は十分に警戒すべきです。韓国企業をアテにしてはいけません。
(吉田ハンチング@dcp)