2024年も03月01日になりました。韓国は「三一節」で祝日です。毎年恒例ですが、この日には韓国の大統領が演説を行います。今年の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の演説は、反日色のほとんどないものでした。
以下に、大統領府が公開した演説の全文和訳を貼ります。
2024.03.01
“3.1運動の精神である自由の価値を守り、豊かな大韓民国の建設のために努力する”
第105周年3.1節記念式辞尊敬する国民の皆様、700万の在外同胞と独立有功者の皆様、本日、三一節105周年を迎えました。
祖国の自由と繁栄のために献身された殉国先烈と愛国志士に頭を下げて敬意を表します。
独立有功者と遺族の皆様に心より感謝申し上げます。
国民の皆様、105年前の今日、私たちの先烈たちは大韓が独立国であることと、大韓人がその主人であることを宣言しました。
手には太極旗を掲げ、胸には自由に対する信念を抱き、挙国的な非暴力闘争に立ち上がりました。
1919年の己未独立宣言書は3.1運動の精神をこのように雄弁しています。
“我が民族が永遠に自由に発展しようとするものであり、人類が良心に従って作っていく世界変化の大きな流れに歩調を合わせようとするものである”と。
己未独立宣言の根底には、当時の世界史の大きな流れである「自由主義」がありました。
先人たちが流した血が地を濡らし、自由の芽を育てれば、
子孫たちが自由と豊かさの国で幸せに暮らせるようになると信じていました。
また、3.1運動はどの歴史にも見られない未来志向的な独立闘争でした。
王政復古ではなく、老若男女区別なく自由を享受する新しい国を夢見ました。
そして、先人たちの信念と願いは今のように実現しました。
今、大韓民国は自由と繁栄を築くグローバルな中枢国家として躍り出ました。
己未独立宣言書で宣言したとおり、新しく優れた気力を発揮する国、世界の平和と繁栄に貢献し、独創的で魅力的な文化を世界に発信する国となりました。
ここまでの道のりは決して容易なものではありませんでした。
独立と同時に北の国土の半分を共産全体主義に奪われ、悲惨な戦争まで経験しなければなりませんでした。
しかし、どんな試練も、自由と繁栄への挑戦を止めることはできませんでした。
資本も資源もなかった国、戦争で荒廃した土地に、高速道路を通し、原発を造り、産業を起こしました。
食べることすら困難だった時代にも、未来を見据え、科学技術と教育への投資を惜しみませんでした。
私は、数々の逆境と挑戦を乗り越えてきた韓国国民の偉大な旅路を本当に誇りに思っています。
私と政府は、3.1運動の精神である自由の価値を守りながら、より幸せで豊かな大韓民国の建設に全力を尽くします。
国民の皆様、私は今日のこの場で、私たちの独立運動の歴史を一緒に振り返ってみたいと思います。
3.1運動を起点に、国内外でさまざまな形の独立運動が展開されました。命を懸けて激しく武装独立運動を繰り広げた闘士たちがいました。
国際政治の流れを見抜き、世界各国で外交独立運動に取り組んだ先覚者たちもいました。
私たち自身の能力を備えるために、教育と文化独立運動に取り組んだ実践家もいました。
帝国主義の敗戦後、私たちの独立が保障されたのは、このようなすべての先駆的な努力の結果でした。
独立運動家たちの血と汗が集まり、祖国の独立を成し遂げ、大韓民国の土台となりました。
私はこのすべての独立運動の価値が正当な評価を受け、その歴史が代々正しく伝承されなければならないと信じています。
誰も歴史を独占することはできませんし、国民全員、さらに私たちの子孫が大韓民国のこの誇らしい歴史に誇りとプライドを持つべきです。
私と政府は、独立と建国、国家の復興に至るまで、先人たちの犠牲と献身が後世に正しく記憶されるように力を注ぎます。
尊敬する国民の皆様、己未独立宣言書は日本に向けて、私たちの独立が両国が共によく生きる道であり、理解と共感を基に「新しい世界」を開こうとしたものです。
そして今、日韓両国は痛い過去を乗り越え、「新しい世界」へと共に歩んでいます。
自由、人権、法治の価値を共有し、共通の利益を追求し、世界の平和と繁栄のために協力するパートナーとなりました。
北朝鮮の核とミサイルの脅威に対する両国の安全保障協力はさらに強化されました。産業と金融、先端技術分野で厚い協力関係を築いており、昨年、両国を行き来した国民は928万人に達します。
武力衝突が起きていた中東やアフリカでは、両国がお互いの国民を救出し、助けを交換しました。
このように、日韓両国が交流と協力を通じて信頼関係を築き、歴史が残した困難な課題を一緒に解決していけば、日韓関係のより明るく新しい未来を切り開くことができるでしょう。
来年の日韓国交正常化60周年を機に、より生産的で建設的な両国関係へと一歩飛躍していくことを期待しています。
尊敬する国民の皆様、3.1運動は、誰もが自由と豊かさを享受する統一によって初めて完結するものです。
今、私たちは、すべての国民が主人である自由な統一された朝鮮半島に向かって進んでいかなければなりません。
北朝鮮は依然として全体主義体制と抑圧統治を続け、最悪の退化と貧困から抜け出せずにいます。
北朝鮮政権は核とミサイルに頼り、2,600万人の北朝鮮住民を窮乏と絶望の沼に閉じ込めています。
最近では、我が大韓民国を第1の敵対国であり、不滅の主敵と規定しました。
嘆かずにはいられません。
統一は朝鮮半島だけに限った問題ではありません。
北朝鮮政権の専制政治と人権侵害は、人類普遍の価値を否定するものです。
自由と人権という普遍的な価値を拡大するのが統一です。
私たちの統一努力が北朝鮮住民に希望となり、灯台となるはずです。
政府は北朝鮮の住民に向けた支援の手を止めないし、北朝鮮の人権改善のための努力も止めないでしょう。
脱北者が私たちと一緒に自由と繁栄を享受できるように、温かく見守っていきます。政府は今年から7月14日を「北朝鮮離脱住民の日」として制定しました。
これを機に、私たち国民皆が脱北者にもっと温かい関心を持ち、配慮してくださるようお願いします。
統一は私たちだけでは成し遂げられない永遠の課題です。
国際社会が責任ある姿勢で共に力を合わせなければなりません。
自由な統一大韓民国は、北東アジアはもちろん、インド太平洋地域と全世界の平和と繁栄に貢献するでしょう。
私は大韓民国の大統領として、このような歴史的、憲法的責務を果たすために最善を尽くします。
尊敬する国民の皆様、今、私たちは時代史的大転換の分岐点に立っています。
己未独立宣言の精神を再び起こし、自由を拡大し、平和を拡大し、繁栄の道に進まなければなりません。
その道の先にある統一に向けて、皆の心を結集しなければなりません。
私たち政府が、情熱と献身で先頭に立ちます。
共に手を携えて、新しい希望に満ちた未来を切り開きましょう!
ありがとうございました。
⇒参照・引用元:『韓国 第20代大統領室』公式サイト「”3.1운동의 정신인 자유의 가치를 지키며, 풍요로운 대한민국 건설 위해 노력할 것”」
3.1独立宣言の根っこには「自由主義」があるとし、自由主義ではない北朝鮮では「依然として全体主義体制と抑圧統治を続け、最悪の退化と貧困から抜け出せず」にいる――と述べました。
その上で「自由と人権という普遍的な価値を拡大するのが統一」としました。つまり、北朝鮮の現体制は駄目だ。韓国の政治体制が北を飲み込んで朝鮮半島を統一する――と明言したことになります。
忘れてはならないのは、「三・一運動が韓国の独立をもたらしたのではない」――という事実です。韓国の独立は、日本が戦争に負け、朝鮮半島から手を引いたために起こった「棚ぼた式独立」です。
(吉田ハンチング@dcp)