豚なの? それとも馬なの?――という話なのですが、特にアンカーが狙って付けたタイトルではありません。中国メディアがそう書いているのです。
中国で「肉」といえば「豚肉」です。中国全土での豚肉の需要は巨大で、それを満たすために大きな養豚企業が存在します。
↑福建省『Aonong Biotechnology』の企業プロファイル/Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください/スクリーンショット
2011年に創業した福建省の『Aonong Biotechnology』という企業があるのですが、メインの業務は養豚で業績を伸ばし、2017年には上海市場に上場するまでになりました。この企業の売りは、母豚-子豚の一貫生産で、2019年には養豚業に注力して大成功したのです。
きっかけはアフリカ豚コレラの大流行でした。
これによって豚肉価格が高騰。約5元/斤から20元/斤と4倍にもなりました。同社は、豚の飼育に注力することを選択し、2018年には飼育頭数「42万頭」だったものが、2022年には「512万頭」となりました。
この大拡大路線によって、一気に同社は「養豚業界のダークホース」(中国語メディアの原文は「黑马」)と呼ばれるようになったのです。また、同社は「福建省の豚王」(原文では「福建的“猪王”」)の異名を取りました。
業績も、
総売上:57億6,200万元
純利益:3,013万元
だったものが、
総売上:115億元
純利益:5億7,300万元
に急拡大しました。
ところが――。そこは過剰生産が十八番の中国。儲かると聞けば異業種だろうが参入して、レッドオーシャンにしてしまうのがお家芸。
豚肉の価格が急下落したのです。2021年には30元/斤から10元/斤となり、同社は飼料の販売も手掛けていますが、こちらもダウン。
↑飼料の製造・販売も手掛けています/同社ホームページより/スクリーンショット
2021年第2四半期には業績が「-3.4億元の赤字」に転落、以降は四半期ごとに赤字を積み上げる状況となりました。
――で、2023年の業績は「当期純利益:-30〜36億元」と予測されています。また、同社は「-7~10億元」の債務超過に陥るという見通しも明らかにしました。
負債総額は147.9億元あって、流動負債が115.5億元、短期借入金が40.51億、支払手形と買掛金が39.18億元に達し、今期の資金が約3億元(2.995億元)しかありません。
キャッシュフローが回らないことは明らかで、「これは飛ぶよね」という状況です。
――というわけで、「養豚業界のダークホース」として業界のTopランナーに躍り出て、「福建省の豚王」と異名を取った企業が飛びそうになっています。
(吉田ハンチング@dcp)