2024年04月25日、韓国の『現代自動車』が2024年第1四半期の業績を公示しました。
2024年第1四半期
総売上:40兆6,585億3,900万ウォン(+7.6%)
営業利益:3兆5,573億6,200万ウォン(-2.3%)
当期純利益:3兆2,760億100万ドル(-1.3%)※( )内は対前年同期比の増減
⇒『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト
韓国メディアでは『現代自動車』の業績が過去最高の売上となった――としています(同じ第1四半期で比較した場合)。大変に盛り上がっているのですが、ご注目いただきたいのは営業利益が減少していることです。
2023年第1四半期と総売上・営業利益の比較をしてみましょう。
2023年1Q ⇒ 2024年1Q
総売上
37兆7,700億ウォン ⇒ 40兆6,585億ウォン(+7.6%)営業利益
3兆6,423億ウォン ⇒ 3兆5,574億ウォン(-2.3%)営業利益率
2023年1Q:9.6%
2024年1Q:8.7%
売上は7.6%増加しているのに、営業利益は-2.3%と減少しています。営業利益率(営業利益/総売上)が0.9%も下落しています。
なぜこんなことが起こったのでしょうか?
理由は、韓国自動車の業績が北米市場次第になっており、電気自動車の「事実上の割引販売」が原因と推測されます。具体的にいえばアメリカ合衆国の「IRA」(インフレ削減法)です。
「IRA」は実質合衆国内で製品化された電気自動車にしか補助金を出さないとしました。韓国産の電気自動車はこれに打撃を受けました。補助金(正確には税額控除)の最大金額7,500ドルが失われることは、韓国企業にとって価格戦闘力の大きな喪失になります。
Money1でもご紹介しましたが、『現代自動車』は自社自動車に補助金がつかないということで、その分を割引して販売するキャンペーンを行いました。恐らくこれが、売上増加、利益減少という結果に影響しています。
韓国にとって残念なことに、世界最大の自動車市場でシェアが1%台に落ちた現在、韓国の自動車産業はもはや合衆国市場頼み。合衆国が韓国自動車産業の命運を握っています。
合衆国市場で売れなくなるわけにはいかにので、割引販売を行うのも仕方がないのです。しかし、これによって営業利益が減少する目に遭ったと推測できます。
(吉田ハンチング@dcp)