韓国は不景気で就職難になっています。
Money1でもご紹介したとおり、求人倍率は02月時点で「0.40」。求職給付(いわゆる失業手当に相当)も1兆ウォンを超えました。
雇用を提供する企業の側でも採用人数を絞る傾向が強まっています。
韓国メディア『ヘラルド経済』が独占の記事を出していますが、『サムスン電子』の直近の雇用事情に踏み込んだ内容となっています。同記事によると、
『サムスン電子』が03月10日から2025年上半期の定期採用を開始した。
しかし、業績悪化に直面しているファウンドリー(半導体受託生産)事業部とシステムLSI(大規模集積回路)事業部では、新卒採用が行われないことが明らかになった。
さらに、新卒採用を実施する職種の数も、昨年の17職種から今年は9職種へと大幅に減少し、半導体業界の業績不振が新卒採用市場にも影響を及ぼしている。
(後略)
『サムスン電子』で半導体事業を担当しているのは「DS部門」ですが、この中で人員を採用するのは、
メモリー事業部
CTO(最高技術責任者)直属の半導体研究所
グローバル製造&インフラ総括
TSP(テスト&システムパッケージ)総括
AIセンター
だけだ――と書いています。
『サムスン電子』のファウンドリー事業とシステムLSI事業は、2024年に計5兆ウォンの赤字を出したと見られています(ファウンドリー事業だけで約4兆ウォン推計)。
これをもって韓国メディアは「台湾『TSMC』に大差をつけられて敗北」などと書くわけですが、『TSMC』と『サムスン電子』の技術差、および生み出す利益の差は(現在のところ)埋まりそうにありません。
差を埋めるためには、技術職の人を多く増やさないといけないのですが、「メモリー事業」についても「最低限の採用にとどめた」と推測されています。
Money1でもご紹介してきたとおり、『SKハイニックス』がHBM(高帯域幅メモリー)でウハウハしている中、追いつかないといけないはずですが、こちらについてもまだ吉兆は見えません。
『サムスン電子』が雇用人数を絞ると、労働市場にも影響を与えます。中国企業『CXMT』の追い上げが厳しいですし、韓国の半導体産業も危うくなっているのです。
(吉田ハンチング@dcp)