韓国はよく「○○不足」に陥る国ですが、今度は「セメント」。ウクライナ紛争が影響を与えているのです。
施工会社がもう限界! 資材価格が上がりすぎ
まず、韓国の建築現場では工事が進まないという事態が起こっています。
鉄筋、コンクリート、アルミ、合板などの建築資材がどれも高騰しており、下請け施工業者が予算内に工事を収めることができません。
そのため、施工業者は建築業者に対して値上げを要求しているのです。これがもめてまとまらないために工事が進みません。
2022年02月18日、韓国『鉄筋コンクリート連合会』は、100大建設会社に書簡を送り、契約単価の引き上げを要求しました(これで二度目の要求)。「骨組み工事に使う鉄筋や合板などが2021年上半期に比べて50%上昇、その他資材も40%上がり、購入できない」というのです。
ウクライナ事態のためにアルミニウムの価格も高騰。実はロシアは世界第2位のアルミ生産国であるためです。
韓国はセメント不足に陥る
――で、セメントです。
韓国メディア『ChosunBiz』の記事によれば、韓国はセメントの製造に使う石炭の75%をロシア、25%をオーストラリアからに頼っています。
ロシアがこれを止めた場合、韓国はセメントが枯渇する事態に陥るかもしれません。
ロシア軍がウクライナに侵攻する前の時点で、石炭の価格上昇によってすでにセメント価格は急上昇を見せていました。
2022年01月:9万3,000ウォン/トン
前年比で「24%」も上昇していたのです。
そこへロシア軍のウクライナ侵攻です。自由主義陣営の制裁、韓国の制裁参加と進んだわけですが、ロシアが制裁への報復で石炭の輸出を止めたりすればセメント価格はさらに急騰するでしょう。
解決策はありません。
『ChosunBiz』の記事では以下のように書いています。一部を引用します。
(前略)
関係者は「今は石炭を求めるのも大変だが、オーストラリア・中国・インドネシアから石炭を輸入するといっても、単価が高すぎて生産しても損をする水準」とし「石炭の価格負担がひどすぎて、むしろセメント生産を当分の間中断する案まで出て悩んでいる」と話した。
(後略)
というわけで、韓国の建築業界は「資材価格の高騰」「建設単価の値上げ要求」「工事はストップ」という混乱に陥っています。
とりあえず先は見えません。
(吉田ハンチング@dcp)