2026年02月04日、アメリカ合衆国・ワシントンD.C.で「重要鉱物閣僚会議」が行われました。レアアースを中国にコントロールされるのは世界的な大問題ですので、それを打ち破るためのもので、大変に注目を集めました。

合衆国も気合の入った会議で、以下の高官が名を連ねています。
Marco Rubio(マルコ・ルビオ) 国務長官(Secretary of State)
JD Vance(J.D.ヴァンス) 副大統領(Vice President)
Scott Bessent(スコット・ベッセント) 財務長官(Treasury Secretary)
Doug Burgum(ダグ・バーガム) 内務長官(Interior Secretary)
Chris Wright(クリス・ライト) エネルギー長官(Energy Secretary)
Jamieson Greer(ジェイミソン・グリア) 合衆国通商代表(USTR、Ambassador)
この会議には54カ国と欧州委員会、計55の代表団が参加しました。
Argentina(アルゼンチン)
Armenia(アルメニア)
Australia(オーストラリア)
Bahrain(バーレーン)
Belgium(ベルギー)
Bolivia(ボリビア)
Brazil(ブラジル)
Canada(カナダ)
Cook Islands(クック諸島)
Czech Republic(チェコ)
Democratic Republic of the Congo(コンゴ民主共和国)
Dominican Republic(ドミニカ共和国)
Ecuador(エクアドル)
Estonia(エストニア)
European Commission(欧州委員会)
Finland(フィンランド)
France(フランス)
Germany(ドイツ)
Greece(ギリシャ)
Guinea(ギニア)
India(インド)
Israel(イスラエル)
Italy(イタリア)
Japan(日本)
Jordan(ヨルダン)
Kazakhstan(カザフスタン)
Kenya(ケニア)
Lithuania(リトアニア)
Malaysia(マレーシア)
Mexico(メキシコ)
Mongolia(モンゴル)
Morocco(モロッコ)
New Zealand(ニュージーランド)
Norway(ノルウェー)
Oman(オマーン)
Pakistan(パキスタン)
Paraguay(パラグアイ)
Peru(ペルー)
Philippines(フィリピン)
Poland(ポーランド)
Qatar(カタール)
Republic of Korea(韓国)
Romania(ルーマニア)
Saudi Arabia(サウジアラビア)
Sierra Leone(シエラレオネ)
Singapore(シンガポール)
Sweden(スウェーデン)
Thailand(タイ)
the Netherlands(オランダ)
Ukraine(ウクライナ)
United Arab Emirates(アラブ首長国連邦)
United Kingdom(イギリス)
Uzbekistan(ウズベキスタン)
Zambia(ザンビア)
以下が合衆国国務省が出した本件についてのプレスリリースです。長いですが、重要な文書ですので、全文和訳します。
面倒くさい方は、次の小見出しまで飛ばしてください。
2026年02月04日
本日、アメリカ合衆国は、パートナーおよび同盟国とともに、重要鉱物およびレアアースの世界市場を再構築する取り組みを開始した。
マルコ・ルビオ国務長官は、J.D.ヴァンス副大統領、スコット・ベッセント財務長官、ダグ・バーガム内務長官、クリス・ライト・エネルギー長官、ならびに米国通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア大使とともに、54カ国および欧州委員会の代表団を主催し、外国およびその他の閣僚43名を含む代表者が2026年重要鉱物閣僚会議に出席した。
以下の国・機関から代表団が参加した。
アンゴラ、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、バーレーン、ベルギー、ボリビア、ブラジル、カナダ、クック諸島、チェコ共和国、コンゴ民主共和国、ドミニカ共和国、エクアドル、エストニア、欧州委員会、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ギニア、インド、イスラエル、イタリア、日本、ヨルダン、カザフスタン、ケニア、リトアニア、マレーシア、メキシコ、モンゴル、モロッコ、ニュージーランド、ノルウェー、オマーン、パキスタン、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ポーランド、カタール、大韓民国、ルーマニア、サウジアラビア、シエラレオネ、シンガポール、スウェーデン、タイ、オランダ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、ウズベキスタン、ザンビア。
重要鉱物およびレアアースは、最先端技術に不可欠であり、AI、ロボティクス、電池、自律型デバイスが経済を変革するにつれて、その重要性は今後さらに高まる。
現在、この市場は高度に集中しており、政治的威圧やサプライチェーン混乱の道具となり、われわれの中核的利益を危険にさらしている。
われわれは、新たな供給源を構築し、安全で信頼できる輸送・物流ネットワークを育成し、世界市場を端から端まで安全で、多様化され、強靭なものへと変革する。
本日の閣僚会議において、アメリカ合衆国とパートナーは、安全で強靭な重要鉱物サプライチェーンを構築するための行動をとった。
1日で、アメリカ合衆国は新たな二国間の重要鉱物枠組みおよび覚書(MOU)に署名し、戦略的鉱物プロジェクトを支援するための合衆国政府の資金供給機会を発表し、さらに資源地政学的関与フォーラム(Forum on Resource Geostrategic Engagement:FORGE)の発足を祝した。
これらの取り組みは、世界の技術サプライチェーンにおける戦略的スタックを確保するための、アメリカ合衆国と9つのパックス・シリカ(Pax Silica)パートナーとの協力によって補完されている。
※パックス・シリカというのは、合衆国政府が打ち出した「技術サプライチェーン戦略の枠組み(コンセプト名)」です。半導体(=シリコン)を中核にした戦略物資の「技術スタック」を、米国主導・同盟国圏で固める構想を指しています:引用者注
本日、アメリカ合衆国は、アルゼンチン、クック諸島、エクアドル、ギニア、モロッコ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、アラブ首長国連邦、イギリス、ウズベキスタンを含む諸国と、新たに11件の二国間重要鉱物枠組みまたはMOUに署名した。
合衆国は、過去5か月間にさらに10件の重要鉱物枠組みまたはMOUに署名し、17カ国との同種協定について交渉妥結に至っている。
合衆国は、重要鉱物外交において前例のない指導力を示している。
これらの枠組みは、価格上の課題への協力、開発促進、公正な市場の創出、優先サプライチェーンにおけるギャップの解消、資金調達へのアクセス拡大のための基盤を提供する。
ルビオ国務長官は、鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)の後継としてFORGEを創設することを発表した。
FORGEは06月まで韓国が議長国を務め、世界の重要鉱物市場における継続的課題に対処するため、果断で大胆な行動を主導する。
協力して取り組むことの利点を理解し、MSPを基盤として、FORGEパートナーは政策およびプロジェクトの両レベルで協力し、多様化され、強靭で、安全な重要鉱物サプライチェーンを強化する取り組みを前進させる。
政府だけではこの問題を解決できないことを認識し、われわれは、採鉱、精錬・加工、最終用途、リサイクルおよび再処理への投資を主導するパックス・シリカを含め、民間セクターとの緊密な連携に取り組む。
閣僚会議前日の02月03日、われわれは世界各国の政府と民間セクターの主要関係者を招集し、サプライチェーンの課題および投資機会について議論した。
同日、ランドー副長官は、コンゴ民主共和国(DRC)における資産の取得可能性に関連し、グレンコアと合衆国支援のオリオン重要鉱物コンソーシアムとの間で締結されたMOUの署名に立ち会った。
このMOUは、DRCの鉱業部門への合衆国投資を促進し、DRCから合衆国への銅およびコバルトの安全で信頼でき、相互に利益のある供給を促進することにより、合衆国–DRC戦略的パートナーシップ協定の中核目的を反映している。
02月04日の閣僚会議後、ランドー副長官およびヘルバーグ国務次官は、合衆国およびパートナーとの新たな協力枠組みの下で優先プロジェクトを前進させるため、鉱業業界の指導者から成るタスクフォースを招集した。
合衆国政府は、重要鉱物サプライチェーンを確保するため、過去6カ月間において、民間セクターとの連携の下、関心表明書、投資、融資、その他の支援で300億ドル超に及ぶ前例のない資源を動員している。
これらの投資は、パックス・シリカおよび「アメリカ・ファースト」の価値観に基づく再活性化した外交・商業関与と相まって、合衆国政府支出をはるかに上回る民間資本を呼び込み、サプライチェーン確保のための数十億ドル規模の新規プロジェクトを生み出す乗数効果をもたらしている。
これらの協調的取り組みは、国内外のプロジェクトに及び、合衆国の国家安全保障および経済競争力を強化する。
トランプ政権の下で、アメリカは戦略鉱物および先端製造をめぐる世界的競争を主導している。これは始まりにすぎず、米国の資金供給機関によるデューデリジェンスの対象として、さらに数十件の追加プロジェクトが進行中であり、近く稼働予定である。
近時の重要鉱物サプライチェーンに対する合衆国政府の支援には、以下が含まれる。
合衆国輸出入銀行(Export-Import Bank of the United States:EXIM)
02月02日、トランプ大統領は、合衆国輸出入銀行(EXIM)理事長が主導する画期的な取り組み「Project Vault(プロジェクト・ヴォールト)」を発表した。
これは、重要鉱物の国内戦略備蓄を創設することで、合衆国の産業政策において前例のない一歩を記すものである。
EXIM理事会は、最大100億ドルの直接融資をプロジェクト・ヴォールトに承認した。
これはEXIM史上最大の融資額の2倍超であり、国内製造業者を供給ショックから守り、重要原材料の合衆国内生産および加工を拡大し、米国の重要鉱物部門を根本的に強化することを目的としている。
より広く、過去1年間において、EXIMはトランプ政権下で重要鉱物プロジェクト向けに148億ドルの関心表明書を発行しており、最近では、米国内のレアアース開発・加工向け4億5,500万ドル、アーカンソー州でのリチウム抽出向け4億ドル、オーストラリアでのコバルトおよびニッケル生産向け3億5,000万ドル、イギリスおよびオーストラリアにおけるスズ採掘向け2億1,500万ドルが含まれる。
EXIMの重要鉱物分野における承認済み取引ポートフォリオには、以下が含まれる。
100億ドル ― プロジェクト・ヴォールト:合衆国戦略重要鉱物備蓄の創設(国内製造業者支援およびサプライチェーン安全保障の強化)
13億ドル ― レコ・ディク(パキスタン):銅および金の生産
2,740万ドル ― 6K Additive(ペンシルベニア州):チタン、ニッケル、高度金属粉末
2,350万ドル ― Amaero Advanced Materials(テネシー州):先端材料および重要金属の加工
1,590万ドル ― Empire State Mines(ニューヨーク州):亜鉛採掘および生産
1,110万ドル ― IperionX(バージニア州):チタン加工および製造
エネルギー省(Department of Energy:DOE)
DOEの融資プログラム室を通じ、同省は、合衆国の重要鉱物および電池サプライチェーンを強化する主要な民間セクタープロジェクトを支援してきた。これには以下が含まれる。
23億ドル融資 ― Lithium Americas社「サッカー・パス(Thacker Pass)」プロジェクト(粘土からの炭酸リチウム)
9億9,600万ドル融資 ― Ioneer社「ライオライト・リッジ(Rhyolite Ridge)」プロジェクト(炭酸リチウムおよびホウ酸)
4億7,500万ドル融資 ― Glencore Battery Recycling(リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンの抽出)
9,800万ドル融資 ― Syrah社ビダリア施設(天然黒鉛加工)
14億ドル条件付きコミットメント ― EnergySource Minerals社「ATLiS」プロジェクト(地熱かん水からの水酸化リチウム)
7億5,480万ドル条件付きコミットメント ― Novonix社「Kathari(カサリ)」プロジェクト(合成黒鉛加工)
12億6,000万ドル条件付きコミットメント ― Michigan Potash(カリ鉱山および加工)
エネルギー省はまた、2025年に以下を含む追加の資金供給およびパートナーシップ機会を開始した。
1億3,400万ドル ― レアアース元素実証施設設立のための資金提供機会通知(NOFO、2025年12月1日)
3億5,500万ドル ― 「未来の鉱山―実証基盤イニシアティブ」支援(次世代採鉱技術の推進および国内産業施設での副産物由来重要鉱物・材料回収の実証)(NOFO、2025年11月14日)
5,000万ドル ― 重要鉱物・材料アクセラレーター(NOI、2025年8月13日)
5億ドル ― 電池材料加工および電池製造・リサイクル補助金(NOI、2025年8月13日)
4,000万ドル ― キーストーン・センシングによる信頼性の高い鉱石特性評価(ROCKS)(NOFO、2025年8月25日)
2,000万ドル ― 磁気加速による新規イノベーションおよび戦術的成果創出(MAGNITO)(NOFO、2025年8月25日)
600万ドル ― 回収および高度重要材料抽出技術―ガリウム(TRACE-Ga)(PIA、2025年9月15日)
戦争省(The Department of War)
Ambler Metals:3,500万ドルの出資(2025年10月、アラスカ州)
Alcoa–Sojitz:9,300万ドルの出資(2025年10月、西オーストラリア州)。外国および民間投資家から1億7,030万ドルの出資を呼び込み
Vulcan Elements:6億2,000万ドルの融資枠のコミット(2025年11月、ノースカロライナ州)。民間投資家から5億5,000万ドルの出資を呼び込み
ReElement:8,000万ドルの融資枠のコミット(2025年11月、インディアナ州)。民間投資家から2億ドルの出資を呼び込み
Korea Zinc:12億5,000万ドルの確定・実行済み融資、24億ドルの条件付き融資(2025年12月、韓国およびテネシー州)。民間投資家から24億ドルの追加融資を呼び込み
Korea Zinc:1億5,000万ドルの出資拠出(2025年12月、韓国およびテネシー州)。民間投資家から5億4,000万ドルの出資を呼び込み
Atalco:1億5,000万ドルの出資(2025年12月、ジャマイカ・セントアンおよびルイジアナ州)。民間投資家から3億ドルの出資を呼び込み
合衆国 国際開発金融公社(U.S. International Development Finance Corporation:DFC)
トランプ政権下で、合衆国国際開発金融公社は、10億ドル超規模の新たな鉱物探査案件に投資し、合衆国および同盟国のための重要鉱物サプライチェーンを強化してきた。これには以下が含まれる。
7,500万ドル ― ウクライナにおける重要鉱物および戦略分野向け初期シード投資(非合衆国政府資金7,500万ドルを動員)
6億ドル ― 世界的な重要鉱物投資のためのオリオン重要鉱物コンソーシアムへの投資(非合衆国政府資金12億ドルを動員)
5億6,500万ドル ― ブラジルにおける重希土類および軽希土類の抽出
最大7億ドルを検討する関心表明書(LOI) ― カザフスタンにおけるタングステン開発の資金調達支援
アフリカの資源取引事業体との合弁交渉(合衆国向け10万トン、合衆国同盟国であるサウジアラビアおよびUAE向け5万トンの銅を確保)
湾岸地域の主要企業との戦略的投資パートナーシップ(重要鉱物投資機会の検討)
合衆国通商代表部(Office of the United States Trade Representative:USTR)
本日、USTRは、重要鉱物サプライチェーンの脆弱性を緩和するための協調的な通商政策およびメカニズムを構築するメキシコとの重要鉱物行動計画を発表した。
また本日、USTRは、アメリカ合衆国、欧州委員会、日本が、重要鉱物サプライチェーンの強靭性に関する行動計画を策定する意向であることを発表した。
⇒参照・引用元:『アメリカ合衆国 商務省』公式サイト「2026 Critical Minerals Ministerial」
中国のレアアース禁輸には屈しない!
合衆国が「中国によるレアアース制限に屈しない」という動きを本格化させました。
名指しこそしていませんが、「現在、この市場は高度に集中しており、政治的威圧やサプライチェーン混乱の道具となり、われわれの中核的利益を危険にさらしている」――という、冒頭に掲げられた認識が中国のことを指しているのは明らかです。
サプライチェーンから中国の関与をできるだけ排除し、安定したレアアースの供給を確立するために55の代表団を集め、MOUを締結し、『合衆国輸出入銀行』をはじめ巨額を投入することを明らかにしまました。
最も注目しなければならないのは、『FORGE』 = Forum on Resource Geostrategic Engagement(資源地政学的関与フォーラム)が発足したことです。
『FORGE』は、合衆国が主導して発足させた「重要鉱物分野の新しい政府間協力枠組み」で、従来の鉱物安全保障協力(MSP)を「格上げ・実戦化」した後継組織です。
『FORGE』は、
価格問題への協調対応
案件(プロジェクト)単位での支援
資金・融資・保証を動員
サプライチェーンの穴を実務的に埋める
を行うための――「話し合いの場」ではなく――「実行装置」なのです。
「Pax Silica」は、半導体・AI・先端技術まで含めた「秩序・世界観」ですが、『FORGE』は、その秩序を下支えする「鉱物・資源分野の実働組織」といえます。
韓国に迫られる「踏み絵」
傑作なのは、初代議長国(2026年06月まで)が「韓国」になった――という点です。
韓国はレアメタルをほとんど持たない国ですが、精錬・素材・電池・半導体で 世界のボトルネックを握っています。つまり『FORGE』がやりたい「鉱山だけではなく、中流〜下流を含むサプライチェーン全体の再設計」に理屈上は最適な国です。
また、韓国はレアアース・正極材・前駆体で 中国依存が数字としてはっきり出る国です。そのため「中国依存を減らせるか?」を測る実験台としても最適な国です。
しかし、合衆国が突きつけているのは「お前はどっちの陣営で実務判断を下すのか?」であり、要するに「踏み絵」です。
「台湾にも謝謝、中国にも謝謝と言っときゃいいんだ」という実用外校(なるもの)を旨とする、韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんは、どうするでしょうか?
(吉田ハンチング@dcp)







