毎日2回、柏ケミカルくんがドルウォンの動向をお伝えしていますが、一時のウォン安から一転して、2026年07月02日の陰線から、ずっとウォン高方向に進行し続けています(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。

ドルの強弱を示す「DXY」を重ねてみると面白いことが分かります。

普通、DXYとドルウォンの方向性は合致するのですが、08月20日以降09月02日まで、ディバージェンスが発生しています。これはドルの強弱に逆らって、ウォンの都合でウォン高方向に進行していたことを示しています。
――で、韓国メディア『朝鮮日報』に「急速なウォン高はマズイ」という記事がさっそく登場しました。同記事から一部を以下に引きます。
最近、対ドルのウォン相場が急激に下落(ウォンの価値は上昇)し、輸出企業の業績見通しに非常事態が生じている。
ウォン高そのものは輸入物価を引き下げるなど、韓国経済全般にとってプラスとなる面が大きい。
問題はその速度だ。
輸出企業の立場からすれば、為替レートの変化を価格や生産戦略に反映する時間が不足しており、すでに業績見通しに織り込んだウォン安効果を巻き戻さなければならない負担が生じている。
韓国経済にとっては歓迎すべきウォン高が、輸出企業にとっては突然の業績ショックとなって跳ね返ってくるという逆説が生じている。
最近の為替レートの下落速度は異例なほど速い。
07日、韓国銀行によると、今年07月の1カ月間の為替レート下落率は8.09%で、市場平均為替レート制度が施行された1990年3月以降、歴代6番目の大きさだった。
(中略)
これまでIMF危機や世界金融危機などの時期には、為替レートが急騰した後、事態が沈静化するにつれて為替レートが急速に下落した。
(中略)
輸出企業の立場からすれば、為替レートの下落はウォン換算での売上高と利益の減少要因として作用する。
ドルで100ドルを稼いでも、為替レートが1ドル=1,500ウォンなら15万ウォンだが、1,350ウォンなら13万5、000ウォンに減少する。
特に半導体・自動車のように輸出比率が高い業種ほど衝撃は大きい。
(中略)
半導体も安心するのは難しい。
『野村證券』は最近の報告書で、
「韓国内のメモリー企業は代金をドルで受け取る一方、費用の相当部分(売上高の約20%)をウォンで支出する構造になっている」とし、
「ウォンの価値が10%上昇すれば、営業利益が約12%減少するという短期的な業績負担が発生する」とした。
最近、『シティグループ』は為替レートの逆風などを反映するとして、『サムスン電子』と『SKハイニックス』の目標株価をそれぞれ43万ウォン、300万ウォンに引き下げた。
『サムスン電子』の今年第3四半期の予想営業利益は従来の115兆5,000億ウォンから104兆1,000億ウォンへ10%引き下げ、『SKハイニックス』の第3四半期営業利益予想も従来の76兆7000億ウォンから74兆ウォンへ3%引き下げた。
(後略)
ウォン高が進行すれば、輸出企業が稼いだドルをウォンに換えたときの価値が目減りする――という指摘です。
ゆっくり遷移してくれれば、まだいいのですが、現在のように急速にウォン高に進行するのは困る――のです。
1,330~1,350ウォン自体は、韓国経済のファンダメンタルズから到底説明できないようなウォン高水準ではありません。
しかし、「1ドル=1,500ウォン」を前提に売上・利益・ヘッジを組んでいた企業が、わずか2カ月後に1,330台を突きつけられるとなれば話は別です。
企業経営にとっては「水準」以上に「速度」が厄介なのです。
面白いのは、韓国の証券会社『NH投資証券』の研究員が、「最近はドル需要よりも、輸出好調による企業からのドル供給が目立ち、為替レートの急落が現れている」として、
為替レートが短期的には従来の予想より低い1ドル=1,300ウォン台前半まで下落する可能性がある
――としていることです。もともとウォンはボラティリティーの高い通貨ですが、ウォン安になったらなったで「すわ通貨危機か」と緊張しますし、高くなったらなったで「輸出企業が緊張している」と騒ぎ出します。
ずいぶん前に柏ケミカルくんがご紹介したことがありますが、ドルウォンは「韓国にとって都合のいいゾーン」というのが極めて狭いのです。
(吉田ハンチング@dcp)





