部外者の日本人ですら、くらくらっと目まいを覚えるような話です。
文在寅大統領肝いりの「韓国版ニューディール」という政策に、さらに24兆ウォンを投入し、「100兆ウォン規模」にすることを07月中に公表するようです。
名前からも分かるとおり、1929年の大恐慌を克服しようとして推進されたアメリカ合衆国のフランクリン・ルーズベルト大統領の「ニューディール政策」になぞらえらたもの。
要は、韓国の次世代のコアになる産業を育て、新規雇用を生み出そうという一大プロジェクトです。
2020年06月06日の韓国大統領府からの発表によれば、以下のような「76兆3,000億ウォン」規模の計画でした(それでも途方もない規模)。
2020年:5兆1,000億ウォン(4,590億円)※1
2021-2022年:26兆2,000億ウォン(2兆3,582億円)
2023-2024年:45兆ウォン(4兆503億円)
小計:76兆3,000億ウォン(6兆8,675億円)
これに「24兆ウォン」を増額して「100兆ウォン + α」の規模にもっていこうというのです。韓国の年間の国防予算がざっくり「50兆ウォン」ですから、その倍突っ込むわけです。
例によって「財源」についての言及なし!
2020-2024年、つまり5年間での予算ですが、韓国政府の歳入・歳出規模からすれば、これは異常なほど大きなプロジェクトです。
2019年の実績で韓国政府の歳入は402兆ウォン・歳出は407兆8,000億ウォン。
5年で100兆ウォンですから、平均で1年20兆ウォンの出費です。
仮に1年の歳入が402兆で変わらないとすれば約5%をこのプロジェクトに割くことになります。韓国はこのような出費に耐えられるでしょうか。
また、例によって財源をどうするかについては公表されていません。
予算の取り合いレースが始まっている!
しかし、政府内の各省庁では、どこが主導権を握るかで早くもつばぜり合いが始まっているとのこと。本件を報道した韓国メディア『毎日経済』の記事から以下に引用します。
このように巨額の予算投入が予告されると複数の省庁が事業の主導権を握るために積極的に乗り出し、省庁間の「争奪戦」の雰囲気まで醸成されている。
事業初期の段階で大規模事業の主導権を握ると、今後の省庁の予算の確保にも有利だからである。
環境部は先月初め室長級(1級)を団長とするグリーンニューディール推進団を作った。
国土交通省もギム・ヒョンミ長官の指示で、最近専門タスクフォース(TF)を設けた。
科学技術情報通信部は、最近非対面産業の育成TFを発足させ、産業通商資源部と主導権争いを繰り広げている。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「韓国版ニューディール5年間で『100兆+α』規模に」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
大型予算がつくと省庁間で取り合いになるというのはどの国でも同じでしょう。また、官主導で行うプロジェクトの効率が悪いのもどの国でも同じこと。さらに、韓国の場合、大統領が変わると前政権の政策はほぼほぼ放棄されることになります。
今から5年計画の予算なんか組んで大丈夫なのでしょうか。
※1ウォン円換算には2020年07月06日の「1ウォン=0.090円」を用いました
(柏ケミカル@dcp)