韓国の文在寅大統領がぶち上げた「韓国版ニューディール」ですが、案の定というか、当然というべきか「財源はどうするんだよ」でもめております。
まただ。今度は「韓国版ニューディール基金」
公的資金を投入することは決まっているのですが、韓国の身の丈にあった企画ではないので国債発行ではとうてい賄えません。
そこで。またなのです。「韓国版ニューディール基金」を作るという算段を行っています。
Money1では先からご紹介しているとおり、韓国は「なにかというと『なんとか基金』を作りたがるヘンな国」で、今回もその例に漏れずというわけです。
これは、資産がなく、みんなから広くお金を集めないと仕方がないという国情に寄るものでしょう。
以下は、「基幹産業安定基金」のときに使用したイメージ図を横にして基金名を「ニューディール基金」に換えただけです。お金を集める仕組みはどれも同じです。
恐らく国策銀行である『産業銀行』がフロントになって「韓国版ニューディール基金債券」を発行し、これを投資家の皆さんに購入してもらいます。
集まったお金を「韓国版ニューディール」に参画する企業にまく、と。
投資家の皆さんは、定期的に利子を受け取り、期限が来たら元本を返してもらいます(償還)。
問題はお金が集まるのか、という点です。
なにせ文在寅大統領が作った「なんとか基金」のお金を集める仕組みは(ほぼ)全部上掲のとおりで、お金がうまく集まったという話は寡聞にして聞きません。
韓国の基幹産業を救う!とぶち上げた「基幹産業安定基金」など、お金もなければまだ1つの企業だって救っていないのです。もちろんお金がないので救うことなんてできるわけがないのですが。
「債券ばっか発行して、そんなたくさんはけるわけないじゃん」というのが市場の反応だというのは、先に「基幹産業安定基金」の際にご紹介したとおりです。
そこで、エラいことを言い出したのです。
「元本保証!」「利益3%保証!」っていうのはどうかなぁ
投資家に債券を買ってもらうために、政府内部ではこの債券に「『元本保証』『3%利益保証』を付ける」という案が話し合われているというのです。
この件を報じた韓国メディア『毎日経済』2020年08月07日の記事から以下に引用します。
政府と与党は、税制優遇やファンドの安定性を高める方向で韓国版ニューディール・ファンドの組成を議論している。
ファンドの安定性を高めるために、国債の利回り+アルファの収入を確保し、政府が失効した場合でも投資家に元本金利を保証する案などが検討されている。
政府・与党周辺では、ニューディール基金は3%台の収益を安定的に出していくことができるという話も出ている。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「【金融ラウンジ】3%の利益に元本保証を約束…ニューディール基金『不法ではない』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
「元本保証・収益保証」を行うというのです。「待て、待てーっ!」と誰もが突っ込むのではないでしょうか。
さらに……。
問題は、資本市場法でファンドの収益確保と元本保全を厳しく禁止しているという点である。
資本市場法第55条は、
△投資家が被るかもしれない損失の全部または一部を保持することを事前に約束する行為
△投資家が被った損失の全部又は一部を事後に保全する行為
△投資家に一定の利益を確保することを事前に約束する行為
△投資家に一定の利益を事後に提供する行為などを禁止している。
例外を勘案しても、元本保証信託商品を除く金融投資商品は、損失保全と利益を保証しなくなっている。
「法律違反じゃん(笑)」なのです。
もちろん、「韓国版ニューディール基金債券」の組成はこれからなので、まだどんなスペックになるか分かりませんが、無理スジを通すのは止めた方がいいのではないでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)