中国で都市伝説「エイズ・メアリー(AIDs Mary)」のようなうわさが広がっており――当局が関連情報をオミットしている――という情報が出ています。
読者の皆さんも一度は聞いたことがあるかと思われますが、エイズ・メアリーというのはこんな話です。
――ある既婚男性が、見目麗しい女性と一夜を過ごすという幸運に恵まれます。
素晴らしい夜を過ごし、朝、男性が目を冷ますと、昨夜の女性はすでにベッドにいません。
身支度をして先に出たのだろうと、男性が洗面台に目をやると、口紅で鏡に、
Welcome to the world of AIDS(エイズの世界にようこそ)
と書いてありました。
――という話です。
この都市伝説はAIDS(後天性免疫不全症候群)が正体不明な病気として、1970年代後半にアメリカで報告され始めたころ、恐怖と偏見を背景に流布されたもの――とされます。
現在では、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することで発症すると理解されていますが、当時は性交渉などによって感染する治療方法がない正体不明な疾病だったのです。
これを現代の中国の情勢に合わせて換骨奪胎したような話を、新興宗教法輪功系の傾いている中国語メディア『看中国』が報じています。以下に記事の一部を引用します。
(前略)
最近、ネット上で「利華益エイズ大爆発」のニュースが拡散されたが、中国共産党当局は緊急にこの情報を封殺した。現在、中国本土のSNSでは関連する動画や投稿が削除されており、一部のネットユーザーによる「際どい」コメントのみが残っている。
ネット上の噂によれば、『利華益グループ』全体で感染者の調査が行われており、これまでに200人以上の感染者が確認されたとされている。一部のネットユーザーは、東営市でこの件が広く話題になっていると指摘している。
未確認の情報によれば、この事件は地元警察が売春を取り締まる過程で発覚したとされる。
逮捕者の体検査でHIV感染が判明し、その後、買春記録を基に調査が進められ、『利華益グループ』内で大規模な感染が確認されたとのことだ。
そして、その感染源が利津県の20代の女性交通警官である、という結論にたどり着いたとされている。
女性交通警官が感染源か
噂では、この若く美しい女性交通警官が、自分がHIVに感染していることを知った後、意図的に男女関係を乱し、地元の「妻交換グループ」にも参加していたとされている。
『利華益グループ』内では性的乱行が非常に深刻で、社内に「妻交換グループ」が存在し、多くの社員が外部で買春していたため、エイズ感染が広がったとのことだ。
結果的に社員の家族や一部の売春女性までが感染したとされています。
(後略)⇒参照・引用元:『看中国』「传山东女警故意传播艾滋 千亿集团200人感染(图)」
中国は当局にとって都合の悪い情報がすぐに遮断されることもあり、本当なのかどうか裏が取れません。
しかしながら、中国では、もう何も怖くないという「無敵の人」が無差別殺傷事件を起こすような社会になっています。
クルマを暴走させる、あるいはナイフを振り回す代わりに「病気を無差別にうつす」――というのは、実際に起こってもおかしくないように思えます。
これを社会的復讐などと呼ぶのがそもそも無茶苦茶ですが、社会不安が醸成されており、まるで都市伝説のような話に「あってもおかしくない」とリアリティーを感じさせる――そのことがすでに恐ろしいと思われないでしょうか?
(吉田ハンチング@dcp)