韓国の負債(返済しなければならない借金)が、政府・企業・家計の3つで激増していることはかねてからご紹介していますが、2020年第2四半期イヤな数字が明らかになってきました。
家計の借金増のスピードが上がったのです。
第1四半期の増加額が「11兆1,000億ウォン」、前年同期の増加額が「16兆8,000億ウォン」ですから、この増加額はまさに異常です。
家計負債が急激に増えた理由は?
第2四半期に急に負債の増加スピードが上がった理由には「株式投資ブーム」「不動産の駆け込み需用」を挙げることができます。
この件を報じた韓国メディア『中央日報』2020年08月20日の記事から以下に引用します。
家計信用残高は銀行などの金融会社から借りたお金(家計貸出)と決済前クレジットカード使用額(販売信用)など、家計が返済する債務を合わせた数値だ。
家計債務は第1四半期末より23兆9,000億ウォン増えた。特にクレジットローン、その他のローンが9兆1,000億ウォンも増えた。
証券会社の信用供与額が7兆9,000億ウォンも増加したのはこれの影響である。この金額は史上最大規模だ。
多くの人が借金をして株式投資に飛び込んだのだ。
また、融資規制のせいで住宅ローンだけでは住宅購入が難しくなると、クレジットローンを最大限に用いた駆け込み需要も少なくなかったという分析だ。
⇒参照・引用元:『中央日報』「家計負債の第2四半期26条急増…ソン・ビョンドゥ『株式・家購入クレジットローン、管理する必要がある』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
不動産売買にかかわる税制改正が駆け込み購入を生んだ
まず、お金を借りてまで株式投資を行う人が増加したことが家計負債を増やした原因と指摘しています。
↑KOSPI(韓国総合株価指数)の投資家別売買動向。直近3カ月を見ても個人投資家は「10兆4507億ウォン」を買い越している。
⇒データ引用元:『finance.naver.com』「投資家別売買動向」
Money1では連日KOSPI(韓国総合株価指数)の動きについてご紹介していますが、確かに個人投資家は猛烈に株式市場に資金を投下し続けています。注意しなければならないのは、「みんながやり出すとそのブームは終わり」という点です。
また、家計負債が増加した原因として「不動産購入」を挙げています。
文在寅大統領は、なんとか不動産価格の抑制を達成しなければならない局面となっています。ここのところ大統領の支持率は下落を続けていますが、これは「不動産の高騰」を国民が不満に思っていることが主な原因とされています。
文大統領はこれまで多数の施策を行ってきましたが全部ハズレで抑制をかけることができていません。
韓国メディアで「23の政策は全部スカだった」みたいな書かれ方をするのはこれを指しています。
第2四半期は、不動産売買の税制変更の前に駆け込みで、しかも通常の住宅ローンではなく、その他ローンを用いて住宅を購入する人が急増し、そのため家計負債が大きくなった、と指摘できるわけです。
『中央日報』の記事では、記事タイトルにあるように韓国金融委員会の孫炳斗(ソン・ビョンドゥ)副委員長が「株式・住宅購入に使われるクレジットローンについては格別の管理が必要だ」という旨の発言をしていますが、果たしてどのような手を打てるでしょうか?
また税制変更でしょうか(ホントにこればっかりなのです)。スカにならないといいですが。
(吉田ハンチング@dcp)