だいぶ時間があいてしまったのですが、『韓国銀行』が2020年11月20日に行った一般向け「中央銀行間『通貨スワップ』の理解」という講義の内容についてご紹介しています。
今回は「その04」です。この講義の第四章が「활용사례(活用事例)」となっていて、その中に興味深いスライドがあるのです。「通貨スワップ」を韓国がどのように活用したか、活用事例を『韓国銀行』が説明しています。
『韓国銀行』にとっては「本当の通貨スワップ」などない
韓国のいう「通貨スワップ」は本当の通貨スワップではない、といわれることがありますが、先にご紹介したとおり、この『韓国銀行』の講義を見る限り、少なくとも韓国(『韓国銀行』)では、
ものと認識しています。このような仕組みの取決めを『韓国銀行』は「中央銀行間の通貨スワップ」と呼ぶのです。
それが市中銀行にドルを供給するものであっても、輸入業者に人民元を融資するものであっても、中央銀行同士の通貨交換で始まり、再交換で終わる取引は「通貨スワップ」なのです。ですから、「本当の通貨スワップ」も何も、『韓国銀行』ではそのような区別をしていないと考えられます。
別に筆者が勝手にほざいているのではありません。「중앙은행 통화스왑의 거래구조(中央銀行通貨スワップの取引構造)」でどのような構造図を用いているかも先にご紹介したとおりです。
中韓「通貨スワップ」の活用事例のフローチャート
で、今回ご紹介したいのは第四章「활용사례(活用事例)」の以下です。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「中央銀行間『通貨スワップ』の理解」
これの前には、アメリカ合衆国FED(Federal Reserve Systemの略称:連邦準備制度)と締結したドル流動性スワップ(韓国からすればこれも正真正銘「通貨スワップ」)の活用事例のスライドがあるのですが、それについては読者の皆さんもよくご存じの話でしょうから飛ばします。
このスライドは、「한·중 통화스왑 무역결제 지원제도 운영(韓・中通貨スワップ取引決済支援制度運営)」と題されており、要は「中韓通貨スワップ」の資金が両国の貿易の決済支援にどのように使われたのか、そのフローチャートです。訳すと以下のようになります(ただし筆者(バカ)訳)。
①をご覧ください。
①『韓国銀行』(BOK)が『中国人民銀行』(PBC)の口座にウォンを振り込む
①『中国人民銀行』(PBC)が『韓国銀行』(BOK)の口座に人民元を振り込む
から始まり、『韓国銀行』に入った人民元が中国内の代理決済銀行を通して中国の輸出業者に入り……などのフローが書かれています。この図では「戻し(swap back)」まで書かれていませんが、『韓国銀行』からすれば、やはり「通貨スワップ」であり、これはその活用事例というわけです。
先にご紹介したとおり、「中韓通貨スワップ」の資金は使われたことがあります。これについては『中国人民銀行』もプレスリリース(2014年05月30日付け)を出しています(下掲)。このときの事例が上掲の活用事例フローチャートの基になっているのでしょう。
⇒参照・引用元:『中国人民銀行』公式サイト「中国・韓国間の二国間現地通貨スワップ協定の下で韓国ウォン資金の最初の利用」
(柏ケミカル@dcp)