韓国の銀行がピンチです。2021年第1四半期(01-03月)に償還しなければならない銀行債が37兆5,825ウォンに達することが分かりました。銀行債というのは、銀行が資金調達のために発行する債券で、韓国ではお金を集めるために預金の次に使われています。いわば借金でお金を集めているのです。
何が問題かというと、まず金額です。この約38兆ウォンは、2020年第1四半期に銀行が「借り換え」のために発行した銀行債より11兆ウォンも多いのです。
緩めた「LCR」が元に戻る!
次に、2020年04月からコロナ対策のために、一時的に緩和された「LCR」(流動性カバレッジ比率)が元に戻るのです。「LCR」といっても一般の人は知らない単語ですね。
面倒くさい人飛ばしていただいても大丈夫ですが、LCRは「Liquidity Coverage Ratio」の略で、日本語では「流動性カバレッジ比率」と訳されます。
簡単にいうと「銀行がどのくらいお金の流出に耐えられるのか」を示す数値です。
銀行こそお金の供給源ですので、多少のお金が出ていったところで倒れるようでは困ります。そこで、「このくらいのお金は保有しておくこと」という規制が敷いてあるのです。
具体的には、「1日のお金の純流出額」を30倍した「すぐに現金に換えられる資産」(これが「流動性資産」と呼ばれます)を持っていないといけません。つまり30日分の「すぐに現金に換えられる資産」を持っていないとならない――と決まっているわけです。これをLCRで表します。
LCRは以下の計算式で求めます。
韓国では「LCRは100%以上」でないといけなかったのですが、コロナ対策でお金をもっと貸し出せと、これを「85%」に引き下げました。そのおかげで銀行は15%分余計にお金を放出できたのです。
ところが、これが04月に元の規制に戻ります。
つまり、銀行債の償還で巨額が出て行くのに、LCR規制が旧に復するため、その分の現金も用意しないといけないのです。この全部をまた銀行債の発行でまかなうのでしょうか? 少し先のことですが、どうなるのか見物です。
先に韓国の銀行が融資を絞り始めた件をご紹介しましたが、これは現金確保の準備なのかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)