韓国のLCC(格安航空会社)最大手『済州(チェジュ)航空』が債務超過の危機に陥っています。
『済州航空』の2016~2020年の営業利益の推移を見ると以下のようになります。
2016年:584億ウォン
2017年:1,013億ウォン
2018年:1,012億ウォン
2019年:-329億ウォン
2020年:-3,558億ウォン
2019年にいきなり「-329億ウォン」と赤字に転落していますが、これがけちのつき始め。日本の「輸出管理強化」に端を発する「NoJapan運動」で、ドル箱だった日本路線で旅客が激減したせいです。
いわば自分で自分の首を絞めたわけですが、それによって赤字転落し、弱り目に祟り目といいますが、ここにコロナが直撃したのです。
2019年には『イースター航空』を買収する、なんて息巻いていたのですが、上記のとおり2020年には急速に業績が悪化。買収をとりやめ、そのために『イースター航空』は破綻しました(現在は法定管理下)。
で、現在『済州航空』は債務超過寸前です。債務超過というのは、負債が純資本を上回ることです。。
債務超過になったからといってすぐに倒産するわけではありませんが、倒産を避けるためには現金が要ります。『済州航空』にどれだけ流動性があるかが問題です。
貸借対照表を見ると、2020年09月末時点で『済州航空』には「現金および現金性資産」は「677億ウォン」しかありません。また、キャッシュフロー計算書を見ると「営業活動キャッシュフロー」は「-2,311億ウォン」と大赤字です。
「営業活動キャッシュフロー」がマイナスということは、事業を行って稼ぐお金よりも出て行くお金の方が多いのです。
また、「投資活動キャッシュフロー」が「1,694億ウォン」になっています。これは資産を売って現金を確保したことを意味しています。通常健全な企業の場合には、投資活動を行ってここはマイナスになるはずなのです。
ですので、『済州航空』は、事業活動において収入よりも支出が多く、足りない分を資産を売却したわけで、その上、手元の現金は少ないのです。
つまり、このままの状況が続けば倒産も目前というわけです。
なんらかの手立てで資本を注入しないといけません。ノージャパン運動なんかしなければ良かったですね。
(柏ケミカル@dcp)