ここのところ韓国メディアで「宇宙大国」「ロケット強国」といった報道が出ております。『テスラ』のイーロン・マスクCEOが一方で推進している『スペースX』に比して、韓国でも同様の宇宙開発ベンチャー企業が出るべきといった主張もあります。
韓国で改めてこのような宇宙開発についての熱が上がっているのは、2021年02月25日、韓国が「ヌリ号」用として開発中の75トン級エンジンが100秒間の燃焼試験に成功したためでもあります。
上掲は、『韓国航空宇宙研究院』(略称「KARI」)が自サイトで公開している総合燃焼試験(03月25日実施)の模様ですが、文在寅大統領自身がこれを参観しています。
この日には、全羅南道にある宇宙センターで「宇宙戦略報告会」という会合が開かれ、文大統領は、
「長期的なビジョンと揺るぎない意志で宇宙開発に果敢に投資し、宇宙に進出していくだろう」
とのこと。まだ第1段ロケットの燃焼実験が終わっただけなので、この先にも技術的困難が待っていると思われますが気の早いことです(このエンジン4基をクラスター化する)。
韓国で開発されている「ヌリ号」というロケットは人工衛星用打ち上げ用のものとされており、独自のGPSシステムを持つために使う予定なのです。
総合燃焼実験も成功裏に終わったので文大統領のテンションも上がっています。韓国メディア『毎日経済』では以下のように報道しています。
(前略)
政府が力を入れて推進する韓国独自の衛星航法システム(KPS・Korean Positioning System)構築事業も文大統領の後押しもあって宇青信号が灯った。韓国型GPSを作るKPS事業は4兆ウォン(約3,840億円:筆者注)が投入される超巨大プロジェクトだ。現在企画財政部の予備妥当性調査を進めており、早ければ来月に予算確保と事業施行するかどうかが決まる予定だ。
このように総額4兆ウォンを投入する予定なのですが、韓国政府のにお金があるのかどうかです。
文大統領は、
「事実上の開発を完了を意味し、あとは発射するだけだ」
「私たちの衛星を私たちのロケットで、私たちの土地で打ち上げられるようになった」
と楽観的に述べています。いや、まだ打ち上がっていませんけれども。
PHOTO(C)『韓国航空宇宙研究院』
(吉田ハンチング@dcp)