『野村ホールディングス』が20億ドル(約2,214億円)の損害を出す可能性があると発表していますが、これは『Archegos Capital Management(アルケゴス・キャピタル・マネージメント)』というファミリーオフィス(特定のファミリーの資産を運用するヘッジファンド)の取引失敗が波及したためです。
この『アルケゴス』は、韓国生まれのBill Hwang(ビル・ファン/朝鮮名:황성국)さんが設立したヘッジファンドです。
ファンさんは「最も成功した韓国系ファンドマネージャー」として韓国で有名な人物。『現代証券』ニューヨーク支店を皮切りに株式ブローカーの道を進みます。『タイガーファンド』に勤めてジュリアン・ロバートソンさんに見いだされました。
同ファンド解散後は、『タイガー・アジア・ファンド』で巨額を稼ぎますが、2012年には中国企業絡みのインサイダー疑惑で『SEC』に4,400万ドルの罰金を支払っています。また、2014年から4年間香港市場での取引禁止措置も受けました。
今回の事態は、『アルケゴス』が「マージンコール」に対応できなかったために起こりました。
マージンコールというのは、株式・FXの取引をする方ならよくご存じの「追い証」です。
レバレッジを効かせた「信用取引」では、手持ち資金の何倍もの金額分の取引を可能になりますが、これを行うには「証拠金」が必要です。つまり、損失が出てもその分の支払い能力はありますよ、と証明するためのお金です。ところが、資金を投入している資産価格が下がった際には、この証拠金が足らなくなることがあります。
この場合には「証拠金を積み増してくれ」という通告が来ます。これができないと、資産の強制決済が行われ、損失が確定します。
今回の『アルケゴス』もマージンコールに対応できなかったため巨額の損失が確定しました。そのため、資金を提供していた金融機関が資金の回収が行えず、損失を被っているという構図です。
損害を被るのは『野村』だけではありません。
『三菱UFJ証券』:330億円
がすでに報じられています。また、『野村』の損害はさらに拡大する可能性があります。
(吉田ハンチング@dcp)