韓国政府は次期主力産業の一つとして「バイオ産業」を挙げています。
文在寅大統領によれば「K-バイオ」です。
「K-バイオ」は簡単にいえば特許の切れた後続品が主力
しかし、近々のコロナ禍に端を発するワクチン騒動でも分かるとおり、韓国のバイオ製薬企業には基礎技術が十分ではありません。創薬では世界的なものではなく、あくまでもバイオシミラーでにとどまっています。
バイオシミラーというのは「バイオ後続品」と訳されますが、特許の切れた先行バイオ医薬品と同じ薬効成分を含んだものです。ですので韓国のバイオ企業は、特許切れのバイオ医薬品のコピー製品を作ることを主力としています。
創薬にはお金と長い時間がかかり、そのノウハウはまだ十分ではありません。ですので、「ワクチンスワップ」などを持ちかても任せられるのは「瓶詰め作業」だったりするわけです(これはこれでノウハウが必要ですが)。
先進バイオ企業からすれば技術を流出させるわけにはいきませんし。
韓国期待のバイオ企業『セルトリオン』
日本ではあまり知られていないかもしれませんが、韓国では『セルトリオン』というバイオ企業が有名で、韓国政府から大きな期待をかけられています。
『セルトリオン』は2002年の創業が、『サムスン電子』など大企業に勤務していた徐廷珍さんが「アジア通貨危機」での失職を機に創業したという、なかなか気合いの入った会社です。日本の製薬会社との(いろんな意味で)つながりも深く、韓国では国民からも一目置かれています。
『セルトリオン』業績悪化。なぜ?
その『セルトリオン』ですが、2021年11月10日、2021年第3四半期の業績を発表しました。
以下なのですが……。
↑Google Chromeの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください2021年第3四半期
総売上:4,009億5,700万ウォン
(対前年同期比:26.9%減少)
営業利益:1,639億7,500万ウォン
(対前年同期比:33.1%減少)
当期純利益:1,404億3,300万ウォン
(対前年同期比:20.1%減少)⇒データ引用元:『韓国金融監督院DART』公式サイト
上掲のとおり、コロナ禍に見舞われた昨年同期よりも業績は下がってしまっています。しかも営業利益が33.1%減少と本業で尋常ではない下落です。
なぜこのような結果になったのかというと、比較的単価の安いバイオシミラー「ラムシマ」(自己免疫疾患治療薬)の需要がアメリカ合衆国で伸び、そのために売上と利益が減ったとのこと。
特許が切れたバイオ医薬品を狙うバイオシミラー企業は世界中にあります。ニーズが高いものを狙い、ライバルより安価に供給しないと勝てません。「ラムシマ」は『セルトリオン』の名を一気に高めた大ヒット・バイオシミラーです。第二の「ラムシマ」となる製品を出すことを狙っています。
同社は、2020年04月に「世界で最も速く新型コロナのワクチンを開発する」と気合いの入った声明を出し、韓国政府、韓国メディアも期待していましたが、残念ながらこちらは空手形に終わりました。
やはり、得手不得手があって、新規創薬についてはまだまだ先進企業には及ばない模様です。
株価は「44.7%」下落し「6.3兆ウォン」が蒸発した!
また、この『セルトリオン』という企業は株式をKOSDAQ(韓国の新興企業が上場する市場)に上場していますが、空売りの標的になりやすいことで有名です。
先に一度ご紹介したことがありますが、同社の社長が「うちの株式は空売り勢力との戦いだ」と述べたことがあります。
直近の株価を見てみると以下のようになっています。
↑『セルトリオン』は「上がりませんねぇ」というチャートになっています。
終値ベースで、2021年の最高値が01月12日の「38万4,000ウォン」で、2021年11月11日の終値が「21万2,500ウォン」ですので、なんと株価は「44.7%」下落し、時価総額では6兆2,681億ウォン」(約6,017億円)が蒸発したことになります。
本来であれば、コロナ禍の中、業績も株価も上がりそうなものなのですが、韓国期待のバイオ企業『セルトリオン』は冴えない状態です。
(吉田ハンチング@dcp)