ドルが強まっており、各通貨が安くなっています。日本円ですら「115円」に達したほどです。直近特に新興国通貨は安値進行を続けており、中でもひどい暴落を見せているのが「トルコリラ」です。
以下の「ドル・トルコリラ」チャートをご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。
2021年通年で見ると、01月01日終値「1ドル=7.4392トルコリラ」から11月25日「1ドル=11.9744トルコリラ」(2021年11月25日12:40現在)まで、60.1%も安くなっています。
特に2021年11月23日は1日だけで始値から終値まで12.6%も上昇しています。
上掲チャートはローソク足1本が1日の値動きを示す「日足」ですが、これをローソク足1本が1カ月の値動きを示す「月足」で見ると以下のようになります。
11月は信じられないような陽線となっています。11月はまだ途中ですが、11月01日始値「1ドル=9.5889トルコリラ」から11月25日「1ドル=11.9744トルコリラ」(2021年11月25日12:40現在)まで、24.9%も上昇しています。
ここまで急激に通貨安が進行するのは異常なことですが、原因はトルコのエルドアン大統領にあります。
トルコは急激なインフレに見舞われていますが、それなのに利下げを行っているのです。
インフレを抑制するには「利上げ」を行うのが常道なのですが、エルドアン大統領は真逆の利下げを中央銀行に強いており、これに「だめだこりゃ」とトルコリラからの離脱が進んでいるというわけです。
しかし、前記のとおりドルが強くなっており、ドルに対して安値トレンドを見せているのはトルコリラだけではありません。以下のドルの強さを示す「DXY」のチャートをご覧ください(同様に月足)。
11月はまだ締まっていませんが、長い陽線となっています。始値「94.17」から終値「96.75」(2021年11月25日14.27時点)まで「2.7%」の上昇です。
韓国のウォンを見てみます(ドルウォン:月足)。
11月は始値「1ドル=1,174.61ウォン」から終値「1ドル=1,190.46ウォン」(2021年11月25日14:33時点)まで「1.3%」の上昇です。
複数の主要通貨から組成される「DXY」の変動が「2.7%の上昇」(ドルが強くなっている)なのに、ローカルカレンシー「ウォン」の変動がそれより小さい「1.3%の上昇」(ウォンが安くなっている)で済んでいます。
なぜでしょう?
ウォン安を進行させないよう韓国の通貨当局が介入しているからではないでしょうか。ウォン安を進行させまいと介入すると、ドル売りウォン買いを行うためドルが溶けます。
そのため、韓国の通貨当局がウォン安阻止をいつまで継続できるかは、ドルが持つかどうかによります。
トルコは大統領のオウンゴールな面もありますが、通貨安の進行は韓国も飲み込むことになるでしょうか。トルコのように「外貨準備が少ないのでどのみち通貨防衛はできない」と諦めてしまえば、いっそ清々しいのですが、韓国はそうはいきますまい。
韓国の通貨当局はいつまで通貨防衛が可能でしょうか。
(柏ケミカル@dcp)