【韓国の完敗】中国は「韓国が北京五輪を応援している」と言質を取った

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2021年12月02日、韓国徐薫(ソ・フン)大統領府国家安保室長が、中国・天津で楊潔篪(ようけっち)政治局員と会談を行いました。


↑右が楊潔篪さん。左が徐薫さん。PHOTO(C)『中国 外交部』

言質を取り合うべく5時間35分も会談

韓国としては、文在寅大統領の悲願である「朝鮮戦争の終結宣言」に対する中国の賛意を得るのが目的。

中国としては、アメリカ合衆国による包囲網の一角に穴をあけるべく、韓国に「中国側に立つ」と表明させるのが目的。

こうなると、言質の取り合い、プレスリリースの出し合い、下品な表現で恐縮ですが「金○の握り合い」バトルになります。

お互いの目標を達成すべく死力を尽くしたようで、韓国メディア『朝鮮日報』によれば、徐さんと楊さんの会談は5時間35分にも及び、その後晩餐会となったとのこと。

同紙の記事では、中国側の要求について以下のように述べています。記事から一部を引用します。

(前略)
中国側は今回の会談でグローバル・サプライチェーンでの協力を訴えたという。

楊委員は「韓国と中国は世界の主要な経済大国であり、多変主義・自由貿易体制の支持者として相互補完の利点を引き続き発揮しなければならない」「両国、地域、グローバル産業サプライチェーンが安定し、かつストップしないよう力を合わせるべきだ」と述べた。

米国が中国をけん制し、同盟国を中心にグローバル・サプライチェーンの再編を目指す中で「韓国が米国側につくことをけん制した発言」と受け取られている。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮日報(日本語版)』「ボイコット論の動きに中国『徐薫国家安保室長は北京冬季五輪開催を積極的に支持』」
赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)

楊さんは「韓国と中国は世界の主要な経済大国」と韓国に対して過分なリップサービスを行ったようです。

合衆国にぎゅうぎゅう締め付けられているので、せめて韓国は味方につけておきたいという意図があるものと思われます。

「除室長が北京五輪を支持した」と中国に発表さる

中国のリップサービスなどに喜ぶべきではありませんが、徐室長は「北京冬季五輪開催を積極的に支持」と言ってしまったようなのです。

同記事は以下のように書いています。

青瓦台(韓国大統領府)の徐薫(ソ・フン)国家安保室長は2日、天津で中国共産党の楊潔チ・中央政治局委員と会談したが、その席で徐室長が「中国による北京冬季オリンピック開催を積極的に支持する」と発言したという。

中国外交部(省に相当)が明らかにした。
(後略)

引用元は同上

あーあ、言質を取られちゃったのか」という話ですが、本当に中国外交部がそんなリリースを出しているのか確認してみましょう。

以下が中国外交部がネット上で公開した文書です(2021年12月02日付け)。上掲の記事に当たる部分は最後の段落にあるので引用します。

徐薰积极评价中国经济社会发展成果,赞赏中国不断推动高水平对外开放,并表示韩方高度重视发展对华关系,期待同中方密切高层交往,全面深化经贸、文化、抗疫等各领域务实合作,支持并祝愿中国成功举办北京冬奥会。韩愿同中方共同为构筑半岛永久和平做出不懈努力,继续推进区域合作,维护多边主义。

徐薰は、「中国の経済的および社会的発展の成果を積極的に評価し、中国の高度な開放の継続的な推進を評価し、韓国は中国との関係の発展を非常に重要視しており、中国との高度な交流を強化することを楽しみにしている」と述べた。

また「経済、貿易、文化、反流行などのさまざまな分野での実践的な協力を包括的に深め、中国が北京冬季オリンピック開催に成功することを支援し、願っている。

韓国は中国と協力して、半島に恒久的な平和を構築し、地域協力を推進し、多国間主義を維持するための絶え間ない努力を惜しまない」と述べた。

⇒参照・引用元:『中国 外交部』公式サイト「杨洁篪同韩国国家安保室长徐薰举行磋商」

一応、中国外交部の公表文書では、徐室長は「北京冬季五輪の開催に成功するのを支援し、願っている」と述べたことになっています。

中国は「朝鮮戦争の終戦宣言」に同意したか?

また、幾つかの韓国メディアが「中国が終戦宣言に同意」などと報じていますが、少なくともこの文書にはそのような文言はありません。

該当しそうなのは以下の部分だけです。

中方一贯支持半岛南北双方改善关系,主张按照“双轨并进”思路和分阶段、同步走原则,通过对话协商解决朝鲜半岛问题,愿同各有关方一道为维护半岛和平稳定、实现半岛长治久安发挥建设性作用。

中国は常に半島の南北関係の改善を支持しており、「ツートラック・アプローチ」と「段階的・同時的アプローチ」の原則に従って、対話と協議を通じて朝鮮半島問題を解決することを提唱しています。

引用元は同上

ご覧のとおり「朝鮮戦争」という言葉すらどこにもありません。

つまり、中国は韓国のほしい表現は一つも入れず、自分たちがほしい言葉は入れて(発言があったとする)文書を公開したのです。

韓国メディアが報じたとおり、本当に楊さんは「朝鮮戦争の終結宣言を支持する」などと言ったのでしょうか。

例えば『朝鮮日報(日本語版)』は以下のように書いています。

【天津聯合ニュース】中国外交担当トップの楊潔チ共産党政治局員は2日に行った韓国青瓦台(大統領府)の徐薫(ソ・フン)国家安保室長との会談で、朝鮮戦争の終戦宣言が朝鮮半島の平和と安定に寄与するとして、終戦宣言を支持する考えを表明した。

在中国韓国大使館が3日明らかにした。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮日報(日本語版)』「中国外交トップ 朝鮮戦争終戦宣言への支持表明」

しかし上掲のとおり、中国外交部の公表文書にはそんな文言はないのです。

以降も中国政府機関からそのような文書が出ないのであれば、言質の取り合い合戦は「韓国の完敗」。そういえるでしょう。

(吉田ハンチング@dcp)

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