「暗雲ばっかりだな」という話なのですが、本当にもめているので仕方ありません。
韓国『双竜自動車』の買収問題の件です。
再生計画に債権者が反対している!
『双竜自動車』は事実上の破綻となり二度目の再生手続きに入っています。韓国のバスメーカー『エジソン・モータース』が優先買収先となったのですが、ここでまた一波乱です。
『エジソン・モータース』が作ったの再生プランに反対の声が上がっているのです。
これはMoney1では取り上げ損ないましたが、まず『双竜自動車』と取り引きのあった債権者が反対しています。理由は簡単で、『エジソン・モータース』の再建プランでは、債権のほとんどが返済されないからです。
『双竜自動車』に部品を納品してきた業者さんなどが代金の未払などで大変困ったことになっています。債権者からすればこれを回収しないわけにいきません。
しかし、韓国メディアの報道によって数字に若干の違いがあるのですが、債権者に戻ってくるお金は債権総額「5,470億ウォン」のわずか「1.75%」とのこと。
これでは、会社が再建されたら代金を支払ってくれると信じて納品を続けてきた皆さんが怒っても仕方ありません。
労働組合も反対!『エジソン』の豪語は砂上の楼閣だった
また、債権者だけではなく、労働組合の皆さんも『エジソン・モータース』の再建プランに反対の声を上げました。
2022年03月23日、双竜自動車労働組合がソウル回生裁判所(企業の破綻処理ばかりを扱う地方裁判所)に、『エジソン・モータース』による買収への反対意見書を提出しました。
労組の皆さんが反対しているのは、『エジソン・モータース』の計画がずさんだということが分かったからです。
『エジソン・モータース』は「自社の持つ技術力で『双竜自動車』の乗用車・SUVを数カ月で電気自動車に切り替えることができる」と豪語していました。
ところが、実際に『エジソン・モータース』と実務協議を4回行い、R&Dのついての検証もした結果、『エジソン・モータース』は、
・『双竜自動車』の研究陣との協業がなければ開発はできない
と『双竜自動車』側に伝えたというのです。
通常の自動車の新車開発というのは数カ月でできるようなものではありません。自社の技術と豪語したものは『エジソン・モータース』には基本なかった、と『双竜自動車』側は認識しました。
そのため、『エジソン・モータース』の事業計画に乗るのは危険――と判断したのです。
お金がないのがそもそも大問題
また、Money1で何度もご紹介しているとおり、『エジソン・モータース』の買収資金調達計画は、『双竜自動車』の持つ資産を担保として資金を集めることを基本としており、『エジソン・モータース』自身は身銭を切りません。
『双竜自動車』労働組合はこの点についても反対の理由に挙げています。
これについては、債権団の主力である国策銀行『産業銀行』がかねてより懸念を表明しています。Money1でしつこくご紹介したとおり、なにせ『産業銀行』の李東杰(イ・ドンゴル)会長が「事業計画がなってない」と怒っているのです。
韓国メディアの報道によれば、『エジソン・モータース』側は、これら反対を受けて「債権団の反対は知っているので、再生計画によく反映するだろう」「関係者集会を延期する」と述べた、とのこと。
――というわけですので、『双竜自動車』が本当に『エジソン・モータース』によって買収できるのかが、また怪しくなってきました。
暗雲は垂れ込めたママ。空は晴れません。
(吉田ハンチング@dcp)