2022年03月18日、『ゴールドマンサックス』が韓国で『現代自動車』『起亜自動車』の目標株価を大幅に下げました。
まず『現代自動車』ですが、これまでの目標株価「28万5,000ウォン」(約2万8,500円)から「20万ウォン」(約2万円)まで一気に「29.8%」も下げました。
チャートで確認してみましょう。以下をご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:以下同/日足)。
水色の線が『ゴールドマン・サックス』が目標株価とした「20万ウォン」です。2022年03月25日12:30現在の株価は「17万4,000ウォン」(約1万7,400円)ですから、現在値から「14.9%」しか上がらないと読んでいることになります。
『ゴールドマン・サックス』だけではなく、『HSBC』は「目標株価:33万ウォン」(約3万3,000円)から「30万ウォン」(約3万円)に「10%」下げました。
『モルガン・スタンレー』は「目標株価:22万ウォン」(約2万2,000円)から「19万ウォン」(約1万9,000円)に「13.6%」下方修正しています。
次に『起亜自動車』ですが、『ゴールドマン・サックス』はこれまでの目標株価「11万ウォン」(約1万1,000円)から「9万ウォン」(約9,000円)まで一気に「18.2%」下げました。
以下のチャートをご覧ください。
同様に、水色の線が『ゴールドマン・サックス』が目標株価とした「9万ウォン」です。2022年03月25日12:30現在の株価は「7万1,900ウォン」(約1万7,400円)ですから、現在値から「25.2%」上がると読んでいることになります。
『HSBC』は「目標株価:12万8,000ウォン」(約1万2,800円)から「11万8,000ウォン」(約1万1,800円)に下げました。
『モルガン・スタンレー』はもっとシビアで、「目標株価:9万ウォン」(約9,000円)から「8万ウォン」(約8,000円)に下げました。「目標株価:8万ウォン」ということは、現在値よりも「11.3%」しか上がらないと読んでいることになります。
なぜ目標株価を下げたのか?
大手が次々と目標株価を下げた理由は、世界的な資源価格の急騰にあると思われます。『現代自動車』『起亜自動車』は共に、軸足を内燃機関車から電気自動車に移していますが、その中核部品である二次電池に使われるニッケルなどが問題です。
以前、ニッケルのダブルインバースでドボンという話をご紹介したことがありますが、二次電池の材料となる資源価格の急騰は異常で、これが原材料価格を上昇させ生産に支障を来し、同時に収益性を圧迫すると見られるのです。
『Tesla(テスラ)』のようにスグ「値上げだー!」と販売価格に転嫁できればいいのですが、これはブランド力があって初めてできることです。
韓国自動車の場合には、『テスラ』のようなブランド力はありませんので、うかつに価格を上げると価格戦闘力がなくなってしまいます。iPhoneと戦わなければならない『サムスン電子』のスマホ「ギャラクシー」と同じような構図です。
そのため、原材料費の高騰を製品価格に反映しにくい『現代自動車』『起亜自動車』は収益性が悪化すると考えられ、それが株価の低迷を招く原因の一つになってしまうわけです。
「このブランドの製品でなければ……」というプレミアム感がないことが、株価の低迷の一つの要因となっているともいえるのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)