韓国の夏は終わりました。
その理由の一つは2020年に人口の自然減少フェーズに入り、しかも合計特殊出生率※が「0.81」と世界最低に落ち、急速に老いていくからです。
2022年05月27日、『韓国経済研究院』(略称「KERI」)から悲鳴にも似たコラム記事が出ていますのでご紹介します。
タイトルからして「人口消滅危機、遅れる前に対処しなければならない」という悲壮感にあふれたものです。
『KERI』のコラム記事から一部を引用します。
去る05月08日、米国電気自動車メーカー『テスラ』の最高経営者であるイーロン・マスクは、日本の出産率低下を懸念して日本が結局消えると警告した。
マスクはツイッターを通じて「当然のことなのか分からないが、出産率の変化が発生しなければ日本は結局存在しなくなるだろう」と述べたのだ。
このような事実が分かると、韓国では「本当の問題は日本ではなくまさに韓国」という懸念が混じった反応が続いた。
実際、両国の出産率比較が可能な2020年基準で日本の合計出産率は1.34を記録したのに対し、韓国の合計出産率はこれよりはるかに低い0.84を記録した。
2021年には、韓国の合計出産率がさらに低い0.81を記録。
このような状況なので、日本よりも韓国が先に消滅するのではないかという懸念が高まっている。
実際に適切な対策と社会的努力がなければ、地球上から大韓民国が消えるのは時間の問題に過ぎない。
(後略)
イーロン・マスクさんのtweetは日本でも話題になりましたが、その後の韓国の反応は興味深いものでした。
コラム内にもあるとおり、「日本より先に韓国が消滅するのではないか」という懸念の声が上がったのです。
全くそのとおりで、総人口また合計特殊出生率からしても、消滅するのなら韓国の方が先です。なにせ人口の減少が急過ぎます。
このコラムの白眉は以下の部分です。
(前略)
もちろん、政府でも低出産が深化するにつれ、2006年から15年間で約380兆ウォンを超える予算を投入し、出産を高めるために努力してきた。しかし、出産率の反騰には失敗したというのが専門家たちの評価だ。
(中略)
韓国労働パネルを使用して世帯主年齢15~49歳基準で2010~2019年の世帯特性別出産率(100世帯当たりの出産世帯数)の変化を見ると、出産率の変化も世帯特性別に異なって現れることが分かる。
所得水準を上・中・下に分けて分析した結果、2010年比2019年の所得階層別の出産率は全ての階層で減少したが、所得が少ない世帯ほど下落率が大きいことが分かった。
例えば、所得下位層の出産率は51.0%減少し、所得中位層と所得上位層はそれぞれ45.3%、24.2%減少したことが分かった。
実証分析による所得階層別平均出産率分析でも、所得下層の出産率は所得上位層の約39.1%に過ぎないことが分かり、所得階層別に出産率の差が有意に存在すると分析された。
(後略)
韓国政府も人口減少に対して手をこまねいてきたわけではありません。少子化対策として2006年からの15年間で380兆ウォン以上を投じてきたのです。
それでも、なんら成果を上げることなく世界最低の合計特殊出生率まで落ち込んでしまったのです。
また、所得の高い世帯では出産率の低下が大きくないというのは注目に値します。
所得上位:24.2%
所得中位:45.3%
所得下位:51.0%
所得階層では出産率が51.0%も落ちているのです。これでは人口が減少しない方がおかしいというもの。子供を育てるにはお金がかかりますので、悲しい話ですがお金のことを懸念して子供をつくらない世帯が多いと推測されます。
当該コラムでは「手遅れになる前に対処しなければ」としているですが、果たして今からで間に合うのかどうか、です。
ただし、韓国には一発逆転の秘策があります。北朝鮮と一つになることです。
※合計特殊出生率は「女性一人が15歳から49歳までに出産する子供の数の平均」です。
(吉田ハンチング@dcp)