韓国株式市場ではいまだに一部の銘柄で空売り禁止が続いています。
韓国の金融委員会は、2020年のコロナ禍による株価下落局面で「明日から空売り禁止だー!」と無茶苦茶な宣言をし、長々と空売り全面禁止を続けた挙げ句、一部解禁。
一部解禁からすでに1年以上たつのですが、いまだに全面解禁になっていないのです。こんな株式市場が『MSCI』から先進国市場と認められるわけがありません。
そもそも金融委員会も「空売りの全面再開が望ましい」などといっていたくせに、その後音沙汰がなくなりました。
何度もご紹介しているとおり、そもそも韓国の個人投資家は「外国人投資家が空売りするから株価が上がらない」と被害妄想で怨念をたぎらせています。
なにせ、「空売り禁止」を強硬に主張する市民団体が以下のようなラッピングバスを走らせるほどなのです。
↑「文空売りも禁止に」「金融委員会は解体」「大韓民国の東学アリを生かして!」と書かれたバス(「韓国株式投資連合会」の仕立てたもの)
日本では恐らく絶対にあり得ないような話ですが、上掲のとおり韓国では空売りが個人投資家から憎まれているのです。
2022年07月28日、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が興味深いことを述べたことが分かりました。
大統領室によれば、大統領は、
「空売りを巡る違法行為を根絶するという覚悟で、金融当局や検察などの関係機関が対策を立ててほしい」
「資本市場の違法な空売り、空売りを利用して市場を混乱させる行為に対し、投資家の懸念が高まっている」
「こうした状況では韓国株式市場が投資家の信頼を得られない」
と述べたとのこと。
この発言だけでは「空売りを巡る違法行為」というのが具体的に何を指しているのかよく分かりませんが※、上記のとおり、韓国の個人投資家が「空売り」に異常な反感を抱いているのは、今に始まったことではありません。
※ネイキッド・ショートであれば分かりますが、これは一応韓国でも禁じられてはいます。
「外国人投資家が空売りをするからオレが損する」みたいな主張はそもそもヘンですし、そのような投資家の主張に大統領が動かされるというのはさらにヘンな話です。
具体的な中身が分からないので評するのはいかんですが、もしこれで韓国株式市場が「空売り全面禁止」の方向に進むようなら、先進国は遠ざかり、外国人投資家が呆れることになるのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)