ご安心ください。『韓国銀行』が外国の中央銀行と「通貨スワップ」(一応「 」でくくります)を推進している――という話ではありません。
『韓国銀行』が韓国の「国民年金基金」と「通貨スワップ」を推進している――という、日本人が聞くと「なにそれ」な話です。
なぜそんなことをするのか?
「国民年金基金」は手持ちのウォンを『韓国銀行』に入れて、『韓国銀行』はウォンと等価のドルを「国民年金基金」に入れます。
なぜこのようなことをするかというと、「国民年金基金」が市場におけるクジラであるためです。
国民から徴収して積み上がった巨額の資金を増やさないといけないので、あちこちに分散投資を行うのですが、資金が潤沢であるため国民年金基金が動くと市場に大きな影響を与えます。
Money1でもご紹介したことがありますが、「国民年金基金」は投資先のポートフォリオを韓国内から海外重視にシフトしています。
韓国のドメスティックな株式・債券などに投資してもちっとも収益が上がらないからです。
それは当然の判断ですが、問題は「海外に投資する場合にはウォンから外貨に換えないといけない」点です。
巨額のウォン売りドル買いが発生し、ウォン安が進行するのです。
ただでさえ、「1ドル=1,400ウォン」に達しようかというウォン安爆進状態なのに「すみませーん、ウォンをドルに換えまーす」とクジラが言ったらどうなるでしょうか。
『韓国銀行』、韓国の通貨当局からすれば「あんたナニやってんの」とフライパンで頭部を殴打したい話です。
しかし、「国民年金基金」としても海外投資をしないわけにはいきません。基金が枯渇する時期が考えてたよりずっと早まるという予測が出ている状況です。
もうからないところにお金を置いておいても仕方ありません。「お金は増えるところに集まる」というのは真理です。「国民年金基金」がお金を増やさないと韓国民が将来困ったことになるのですから、海外投資は必須。
――で「通貨スワップ」の登場です。
『韓国銀行』が手持ちのドルを「国民年金基金」に提供すれば、市場を通じた両替が発生せず、ウォン安を進行させずに済む、というわけです。
「国民年金基金」と『韓国銀行』が「通貨スワップ」を締結するのは、2008年の終了以来、実に14年ぶりのこと。2008年というと……そうなのです、韓国通貨危機の時です。
そんなことで貴重なドルを回していたから足りなくなったんじゃないのか、という気がしないでもありませんが、とりあえず14年ぶりにこの「通貨スワップ」は推進されています。
通貨防衛でドルを溶かしている韓国通貨当局はこれをGoするでしょうか。
いろんな意味で要注目です。
(柏ケミカル@dcp)