韓国の政争が激化「文在寅は銃殺に値すると発言した金委員長」とは何者か?

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尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領もエラい人材をエラいところに据えたなぁ、という話です。

読者の皆さんもすでにご存じかもしれませんが、韓国の尹政権で経済社会労働委員会の委員長となった金文洙(キム・ムンス)さんの件です。

「文在寅は北朝鮮シンパである」という主張

まず、経済社会労働委員会は、大統領直属の諮問委員会で「労働者、使用者、政府が、信頼と協調のもとで雇用労働政策及び関連する経済・社会政策等を協議し、大統領の諮問に応じるために設置された」ものです。

金文洙(キム・ムンス)さんは、2019年に行われた『自由韓国党』主催の討論会で「文在寅は銃殺対象」という発言をした人物として知られています。

2022年10月12日には、国政監査の場で、金文洙(キム・ムンス)委員長は「今でもその考えは変わらない」と延べ、野党に転落した『共に民主党』から大反発を買いました。

本件を非常にコンパクトにまとめた『ハンギョレ(日本語版)』から一部を引用すると、こんな具合です。

(前略)
キム委員長は13日のCBSラジオのインタビューで「朴槿恵(パク・クネ)大統領懲役22年李明博(イ・ミョンバク)大統領懲役17年、4人の国情院長を全員監獄に送った文大統領は、おそらく歴史の審判を受けるだろう」と語った。

前日の国会環境労働委員会の国政監査で「文大統領がシン・ヨンボク先生を最も尊敬する思想家と言うなら、確実に金日成(キム・イルソン)主義者だ」と述べ、国政監査場から退場させられたのに続き、元大統領に対する裁判所の判決まで否定しつつ、文前大統領を批判したのだ。

同氏は2019年の自由韓国党主催の討論会での「文在寅は銃殺対象」という暴言について「今でもそのような考えを持っているのか」と尋ねた議長に対し「今でもそうだ」と答えた。
(後略)

⇒参照・引用元:『ハンギョレ(日本語版)』「国会を揺るがす大統領諮問委員長の暴言…与党も『事が起こるべくして起こった』」

一般の人はご存じないので、申榮福(シン・ヨンボク)さんについては説明が必要でしょう。この方は左翼活動家で思想家です。朴正煕(パク・チョンヒ)大統領時代の1968年、南朝鮮で革命を起こそうとしていた『統一革命党』が捜査された際に、逮捕され無期懲役の判決を受けました。

20年間投獄されましたが、1988年に特赦によって釈放。1989年~2014年は『聖公会大学』で教鞭を執り、2016年01月15日に亡くなっています。左派からは偉大な思想家として慕われ称賛される一方で、保守派からは、北朝鮮のシンパであり、主体思想の持ち主であると批判されました。

文在寅元大統領が、申榮福(シン・ヨンボク)さんの思想を敬慕しているのであれば、それは北朝鮮のシンパであり、主体思想信奉者ではないか――というのが金文洙(キム・ムンス)委員長の主張なわけです。

「銃殺発言」の金文洙さんはどんな人?

では、金文洙(キム・ムンス)委員長はどんな人なのか?

1951年生まれで現在71歳ですが、実は金文洙(キム・ムンス)さんは筋金入りの労働運動の活動家でした。非常に戦闘的な活動家で、一名「운동권의 황태자」(運動圏のプリンス)と呼ばれるほどだったとのこと。

学生運動を行ってソウル大学を二度除籍され、勤務した工場では労働運動をして、やはり二度解雇されています。刑務所にも二度入っているというゴリゴリの活動家で、大学を卒業するのに24年6カ月もかかったという猛者中の猛者です。

金文洙(キム・ムンス)さんは、ものスゴイ力で握手をする人としても知られています。

その後政界に転じ、第14~17代国会議員選挙で当選。第4~5回全国同時地方選挙で当選し京畿道知事も務めました。第20代国会議員選挙では落選したのですが、今回尹政権の発足で経済社会労働委員会の委員長に指名されました。

『社団法人 李承晩(イ・スンマン)建国大統領記念事業会』の常任顧問でもあります。

つまり、金文洙(キム・ムンス)さんをひと言でいえば、筋金入りの活動家であり、反共主義者です。

野党に転落した『共に民主党』の国会議員が束になって議論を挑んでも、恐らく勝てません。なにせ、金文洙(キム・ムンス)さんは労働運動の黎明期から戦ってきた人だからです。金文洙(キム・ムンス)さんからすれば、運動圏の弁護士上がりの国会議員など、ひよっこに見えるでしょう。

戦いが本域に入った証拠!

尹大統領もエラい人をエラいところで起用したものです。かつての労働運動の闘士を「経済社会労働委員会」の委員長に据えたのですから。

しかし、これは明らかに左派・進歩系に対する「戦うぞ」という意思表明です。

2022年10月22日にソウルで行われた保守系のデモ集会に、この金文洙(キム・ムンス)委員長が参加していたのですが、参加者から大歓迎を受けています(以下はその様子を捉えた動画)。

↑保守系デモ参加者から歓迎される金文洙(キム・ムンス)委員長。回りの人から握手と一緒に写真を撮ってくれと望まれています/YouTube『너만몰라TV』チャンネルに上がった動画です。

李在明(イ・ジェミョン)『共に民主党』党首はじめ、文在寅前大統領シンパの皆さんも全力で対抗するでしょう。負けたら「おしまい」だからです。

「負けたらおしまい」なのは、保守系も同じです。「ロウソク革命アゲイン」となって、せっかく取った政権を手放すわけにはいきません。

いよいよ韓国内での戦いは本域ホンイキに入ったのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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