日本がまた為替介入を行いました。
断固たる態度を内外に示したといえいるでしょう。「いよいよ1ドル=152円だぁ」だったものを、以下のように、一気に「146円」台まで円高方向に急落下させました(チャートは『Investing.com』より引用:分足)。
今回もまた「いくときはいくって言ってただろう?」というような電撃介入で、「ジワジワいってりゃ介入も来ないだろう」と高をくくっていた人を驚愕させました。
さて、韓国。
一時円安が1ドル=150円超えまで進行したせいなのか、なぜか「日本が金融危機に陥る」という記事が韓国メディアに多く出るようになっています。日本語版でも記事が出ているのは日本人に知らせたいからかもしれません。
しかしながら、円安が進行して……日本が金融危機に陥るのであれば、先に韓国などが危機にはまり込むでしょう。ちなみに「金融危機」とは「金融に端を発する経済危機」と説明されます。あっさりしたものです。
韓国メディア『中央日報(日本語版)』では以下のように「日本がパニックに陥っている」ことになっています。
日本円が急落している。
円・ドル為替レートが心理的マジノ線の1ドル=150円を超えたのは1990年8月以来32年ぶりだ。
日本円は新型コロナ拡大直前の2020年3月(1ドル=101円17銭)に比べ47.98%下落した。米ドルを売る市場介入にもかかわらず円安は進んでいる。
この余波で日本は今年4-9月、過去最大となる11兆円の貿易赤字になった。
かつて米国と比較された経済大国の象徴である日本円がなぜこのようになったのか。
日本は事実上パニック状態に陥っている。
日本銀行(日銀)の黒田東彦総裁は最近、参議院に出席して「(円安ドル高が)急激で一方的であるため経済にはマイナス」とし「それでも金融緩和以外には選択肢がない」と吐露した。
金利を上げれば円安ドル高を防御できるが、日本が依然としてデフレスパイラルの中にあり、金利を上げることもできないということだ。
(後略)
円安の心理的マジノ線が「1ドル=150円」――なんて書いていますが、こんなことを言ってるのは韓国メディアだけです。何度だって言いますが、マジノ線なんて言うから破られるのです。いや、韓国の場合、突破されるの前提かもしれませんが。
「日本は事実上パニック状態に陥っている」と断定しているのもスゴイです。誰がパニックになっているのでしょうか。
「経済大国日本がなぜこんなことになってしまったのか」――と「04~09月に過去最大となる11兆円の貿易赤字」を引いていますが、これは慨嘆のフリ。日本を貶めたいのです。
もう何度だっていいますが、日本は韓国と違って貿易収支が赤字になっても国が傾いたりしません。
上掲の11兆円の貿易赤字というのは、速報値を使ってのことですが、経常収支に直結する国際収支統計の方で見てみましょう。2022年09月の国際収支統計はまだ出ていないので、08月までで見ると、以下のようになります。
2022年01~08月 累計
貿易収支:-9兆3,890億円
経常収支:+3兆7,685億円⇒参照・引用元:『日本国 財務省』公式サイト「国際収支の推移」
01~08月の累計貿易収支は「-9兆3,890億円」と大赤字です。では、経常収支は赤字なのか?
「NO」です。
経常収支は「+3兆7,685億円」と黒字なのです。
これは、海外からの所得を計上する第1次所得収支が累計で「18兆6,693億円」もあるからです。
ここが、貿易収支が赤字になるとスグに経常収支が赤転に向かう韓国と全く違う点です。ですので、日本は別にパニックなど起こしていないはずなのですが……どこの日本がパニックなのでしょうか。
日本の08月単月の国際収支統計の経常収支の部は強烈な結果です。以下をご覧ください。
⇒参照・引用元:『日本国 財務省』公式サイト「国際収支の推移」
貿易収支は「-2兆4,906億円」の巨額赤字なのに、第1次所得収支が「+3兆3,271億円」もあるため、経常収支はうっすいながらも「589億円」の黒字で回ったのです。
円安であるため、海外から外貨で支払われる所得は円建てにすると膨らみ、黒字を押し上げる効果があるのです。
しかも日本人は別にドルで給料をもらっているわけではありません。ドル建てにしたら減少している、日本人は窮乏に向かっているんだ――なんて話がありますが、円を使って暮らしている一般国民にとって「ドル建ての統計では給料減ってますよね」なんて指摘が深刻なものなのでしょうか。
韓国メディアの皆さんは、日本を心配などせず、自国経済をご自愛いただくのがよいでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)