2021年06月22日、『韓国銀行』から「2020年の地域別国際収支(暫定版)」が公表されました。非常に注目していただきたい資料です。
対アメリカ合衆国、対中国、対日本など、地域別に見た国際収支統計です。輸出産業1本で食べている韓国が地域別にどのような収支となっているのかを表しています。
読者の皆さんが最も気にされるであろう「対日本」の経常収支(current account)を見ると以下のようになっています。
経常収支(current account)全体では、韓国は「213億1,000万ドル」(約2兆3,541億円)の赤字がとなっています。
そのぶん日本がもうかっているということです。対日本の収支ですから、韓国の「–」はそのぶん日本の「+」を意味しているのです。
また、注目ポイントは以下の年次推移です。
2017年:-287.4億ドル
2018年:-247.0億ドル
2019年:-190.2億ドル
2020年:-213.1億ドル
2017~2019年と減少してきた赤字が、2020年に増加に転じました。
経常収支の中身を見てみよう
全体としては上記のようになっているのですが、この対日本赤字の中身はどうなっているのでしょうか。2020年の経常収支の中身は以下のようになっています。
貿易収支:-166.6億ドル
サービス収支:-0.7億ドル
第1次所得収支:-49.6億ドル
第2次所得収支:3.8億ドル
面倒くさい用語が出てきたと思われるかもしれませんが、あまり気にしないでください。ただの項目名です。これらは以下のようなことを示しています。
物品の取引の収支を表す「貿易収支」は「-166.6億ドル」(約-1兆8,404億円)の赤字で、逆にいえば日本はここで最も大きく稼いでいます。
韓国は自動車や半導体などの輸出で食べている国ですが、対日本では分が悪いのです。対日本では、輸出よりも輸入の方が多いので赤字になります。韓国で対日貿易の赤字が……と話題になるのはここです。
サービスの取引の収支を表す「サービス収支」は「-0.7億ドル」(約-77億円)で済んでいます。これはコロナ騒動で人の移動が制限され、日本への観光旅行が少なくて済むなどしたからです。
2018年:-30.3億ドル(約-3,347億円)
と2017、2018年が巨額赤字になっているのは、日本への観光旅行がLCC(格安航空会社)の増便などによって流行した影響が大です。2019年にサービス収支が「-8.3億ドル」まで急減したのは、例の「NoJapan運動」が起こって日本旅行ブームなどが終わったからです。
しかし、その影響でLCCはドル箱の日本路線で採算が取れなくなり、韓国LCCはどこも経営が傾きました。禍福は糾(あざな)える縄の如しとはよくいったものです。
投資の利益などを計上する「第1次所得収支」は「-49.6億ドル」(約-5,479億円)の赤字ですが、日本がこれまで韓国に資金を投じた分の「上がり」を徴収していることを示しています。
韓国は対価を伴わない資金協力・寄付・贈与を420億円分日本から多く受け取っている
「第2次所得収支」は「3.8億ドル」(約420億円)の黒字です。第2次所得収支というのは、対価を伴わない資金のやりとりの収支を計上する項目です。官民の無償資金協力や寄付、贈与などがここに計上されます。
取引の収支なので、これがプラスということは、韓国は日本からこのような対価を伴わない資産提供を420億円分も多く受け取っていることになります。
というわけで、韓国の「対日本の経常収支」だけご紹介してみましたが、いかがだったでしょうか。国際収支統計はけっこう面白いと思っていただけたら幸いです。
国際収支統計の中の金融収支については長くなりそうですので、もし読者の皆さまが面白いと思われるようであればまた別記事でご紹介するようにいたします。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2020年の地域別国際収支(暫定版)」
(柏ケミカル@dcp)