またぞろで恐縮ですが韓国政府の借金の話です。
2022年11月24日、『韓国開発研究院』(略称「KDI」)は韓国の政府負債について興味深いリポートが出ています。
「コロナ19以後財政余力拡充のための政策課題」と題するリポートで、これによると韓国政府の負債は2060年には対GDP比で「144.8%」まで上昇するとしています。
以下にリポートから肝になるグラフを引用します。
↑政府負債の対GDP比率は右軸。社会保障収支の対GDP比率がオレンジの線、管理財政収支の対GDP比率が青の線で左軸が目盛り。
灰色の対GDP負債比率の棒グラフを見ていただけば分かりますが、このままでは急上昇していく予定です。現在ざっくり50%と考えていただいてOKなのですが、これが約145%に上がるのですから、政府負債はざっくり3倍になるということです。
問題は、そんな負債に耐えられるのかです。
また、社会保障収支がマイナスに転じるのが2037年。政府の管理財政収支はすでにマイナスですが、これも2030年から坂道を転がるように赤字を増やしていくと見込まれています。
重要なポイントは、このシミュレーションが人口について「中位」条件で行われている点です。「中位」シナリオでは、
韓国の合計特殊出生率※が2021年の「0.86」から2067年の「1.27」まで徐々に回復していく、という条件設定になっています。
ところが、2021年の実際の合計特殊出生率は、統計庁がすでに発表していますが「0.81」なのです。
条件設定がすでに破綻しており、これよりも下をくぐる可能性が高く、つまり政府負債はさらに膨らむ可能性が高いのです。
人口構造を「低位」シナリオと設定すると、2060年の対GDP比率政府負債は「170.2%」まで上昇します。
さらには、『KDI』のキム・ハクス先任研究委員によると、
「もし支出構造の調整、効率化に失敗し、人口展望の低位推計が同時に現実化すれば、2060年の国家債務比率は260%を超えるだろう」
とのこと。このような負債増に韓国政府が耐えられるとは到底思えません。260%に達するはるか手前の段階で破断界を迎えると考えられます。
というのは、韓国政府の対外債務が増加して支払いに困難を来した段階でデフォルト騒動が起こるはずだからです。韓国政府の場合、日本とは違って外国からの借金も増加させています。
2021年末時点で外国人の韓国債の保有比率は19.4%です。
2021年
発行残高:843.7兆ウォン(約81.8兆円)
発行額:180.5兆ウォン(約17.5兆円)
平均調達金利:1.79%
外国人保有残高:164.1兆ウォン(約15.9兆円)
外国人保有比率:19.4%
2020年はどうだったかというと「16.7%」でした。文前政権がコロナ禍で経済が停滞するのをなんとかするために国債を大量発行したのですが、外国人の保有比率もそれに合わせて増加。
2022年がどうなるのか、まだ結果は出ていませんが、外国人の韓国債保有比率は2割を超える可能性があります。
韓国政府の信用が落ちたらアウトというのは実は今も変わりません。
ですので、韓国政府が負債を膨らませ続けると260%などという無茶苦茶な数字に達するよりも早く、もっと現実的なラインで対外的な信用を失い、破断界に達する可能性があります。
※合計特殊出生率は「女性一人が15歳から49歳までに出産する子供の数の平均」です。この数字が2.2ないと人口は増えていかないといわれます。
(吉田ハンチング@dcp)