韓国の財政収支は悪化しています。これは前文在寅政権が支出を拡大したからです。韓国史上初めて支出600兆ウォンを超える予算を組みました。
支出をカバーするだけの収入はありませんので、国債を発行して補い、そのため政府負債が異常に増加しました。文在寅大統領は政府負債を最も増やした大統領として歴史に名を残すでしょう。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権はこれを「せめて政府負債のスピードが減速するように調整するつもり」です。韓国は、信用格付け会社に「ソブリンリスクあり」と判断され、格付けが落ちるのを恐れています。また、文在寅政権の時代から、「政府負債の拡大スピードが早すぎる」と懸念を示されていました。
格付け会社の懸念を払拭するためにも、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は「財政を立て直す」という姿勢だけでも見せなければなりません。そのため、文在寅政権でできなかった「財政準則」(守らなければならない財政上のルール)の法制化を進めているのですが、長くなりますので、これは別記事にいたします。
2023年01月12日、韓国の企画財政部から「月刊財政動向 2023年01月号」が刊行されました。これは2022年11月末時点の政府財政のデータを公表するものです。以下をご覧ください。
2022年11月
総収入:34.0兆ウォン
総支出:41.8兆ウォン
統合財政収支:-7.8兆ウォン
管理財政収支:-11.7兆ウォン2022年01~11月
総収入:571.6兆ウォン
総支出:622.5兆ウォン
統合財政収支:-50.8兆ウォン
管理財政収支:-98.0兆ウォン※統合財政収支は単純に総収入から総支出を引いたもの。管理財政収支は国民年金基金などの収支も足しこんだもの。国の財政の健全性を判断する場合には、管理財政収支の方を見なければなりません。
総支出の方が大きくなり、11月の管理財政収支は「-11.7兆ウォン」となっています。01~11月の累計では、管理財政収支は「-98.0兆ウォン」。
2022年は、第2次補正予算をいれて「管理財政収支:-110.8兆ウォン」でしたので、あと12月だけ残して「11.8兆ウォン」の赤字が可能です。
帳尻が合うかどうかギリギリですが、ご注目いただきたいのは、社会的セーフティーネット、年金基金などの収支です。第2次補正までの予算で年間「40.4兆ウォン」でまとまらなければいけないのですが……11月までで「47.2兆ウォン」とすでにオーバーしています。
年金基金など収支の読みが甘かったことが分かります。これは韓国政府が年金基金改革を急ごうとしている動きと符号します。先にご紹介したとおり、これも文在寅政権が何もしなかったためです。
とりあえず、企画財政部は間違ったことはしていません。財政均衡を取ろうとしているのがいいのか悪いのか……ではありますが。
(柏ケミカル@dcp)