「李在明(イ・ジェミョン)さんの逮捕同意案」が否決され、山の一つも越えたように見えますが、韓国の国会はまともに機能していません。
タイムリーにご紹介できませんでしたが、左派・進歩系『共に民主党』が労組が数を頼みに「黄色い封筒法」(これがロクでもない法律なので別記事でご紹介します)問題がありますし、韓国の未来にとって必要だと考えられる大事な法律が通りません。
一つは「K-チップス法」の改正であり、もう一つは「財政準則」を法制化する「国家財政法改正案」です。
特に後者は焦眉の急で重要です。なぜかというと、「韓国はソブリンリスクが高い」と国際機関に認定され、世界的信用格付会社が韓国の格付けを下げかねないからです。
Money1でも以下の記事で、時に死神と言われる『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)が、韓国の企画財政部との話し合いで「財政準則を法制化せよ」と強く述べたことをご紹介しました。
これは明らかに警告です。
日本の格付けを韓国より下にするほどのアンポンタンであることからも分かるとおり、『S&P』『Moody’s(ムーディーズ)』『Fitch(フィッチ)』は『IMF』と同様に考えていると見なければなりません。
韓国の格付けが下がると、ただでさえ利上げ局面であるのに、さらに資金調達が難しくなります。政府も企業も困ることになるのです。
そうならないためには、格付けを下げない方向で、すなわち『IMF』の指示に従って、財政準則を法律にするしかないのです。
企画財政部は『IMF』の警告に従い「国家債務の対GDP比率を60%水準で維持するための法案」(= 国家財政法改正案)準備しているのですが――しかし、韓国の国会はまともに機能していません。
李在明(イ・ジェミョン)さんを逮捕して吊し上げ、監獄に送って「保守よりの政権を安定化することは確かに重要ですが、それはあくまでも国内のおっかしな左派・進歩系を抑え込むためのものです。
それで国会がまともに機能せず、この法案が通過しなければ世界的に韓国の信用が下がるのです。
韓国に全く愛情など持たない日本からすれば知ったことではありませんが、韓国の皆さんはもっと真剣に考えるべきでしょう。
『OECD』(Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略:経済協力開発機構)は、
・財政準則がなければ2060年の韓国国家債務比率が150%に達する
と読んでいるのです。その時に果たして韓国の信用格付けはどこまで落ちているでしょうか。
また、その時の資金調達コストは今よりどのくらい上がっているでしょうか。
韓国の『国会予算政策処』も「財政準則を導入しなければ2060年には、国民1人当たりの国家債務が1億ウォンに増える可能性がある」としています。
MMT的な見方からすれば「国民1人当たりの政府債務」を計算すること自体があほらしいすが、しかし、それはアメリカ合衆国や日本など、通貨主権が明確に強い国であれば――の話です。韓国のようにローカルカレンシーで、通貨主権の強弱がどこまであるのやら分からない国が野放図でいいわけないのです。
――というわけで、韓国は政争のために大切な法律を通すことができなくなっています。
直近の「韓国内の分裂具合」を見て、「李氏朝鮮末期のようだ」と形容する方もいらっしゃるようですが、国難に際して無頓着と見える点においては当たっているかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)