韓国では不動産・建設セクターの絶不調で、建設会社が窮地に陥っています。
財閥系の『ロッテ建設』もご多分に漏れず業績がよろしくありません。
建設業界では『ロッテ建設』が本社の売却に乗り出しているという情報が出ています。
業績が傾いた会社によくある話で、本社を売却して1兆ウォン入手することを目論んでいる――と見られます。
まず業績がどのくらい傾いているのか、『DART』に公示されたデータを見てみましょう。『ロッテ建設』はいまだ2024年通期のデータを公表していません。直近は2024年第3四半期になります。
以下をご覧ください。
第1~3四半期「営業利益」の比較
2023年:2,461億7,256万663ウォン
2024年:1,631億7,292万1,597ウォン
2023年は第1~3四半期で「約2,461.7億ウォン」あったのですが、2024年には「約1,631.7億ウォン」まで減少しています。
33.7%も下落したのです。
キャッシュを入手したい理由はなんだろう
公示された『ロッテ建設』の(1)要約連結財務諸表のデータを見ると面白いことが分かります。
資産の部の「現金及び現金性資産」が激減しているのです。2023年12月末には「1兆8,146億ウォン」あったのですが、これが2024年第3四半期(2024年09月末)時点では「8,621億ウォン」となっています。
約52.5%の減少で、ざっくり1兆ウォンなくなりました。
これが「1兆ウォンいる」理由ではないでしょうか。
↑『ロッテ建設』本社は上掲のような一等地にあります/PHOTO(C)Google Map
『ロッテ建設』の本社は1978年に建設されています。敷地面積は約1万平方キロメートルで、資産価値は約5,000億ウォンと評価されています。
ずいぶん古い建物なので建物自体にはほとんど価値はなく、これは土地代ですね。高く売れるのかしら?――ですが、2023年09月に地区単位計画の特別計画区域に指定されており、共同住宅などの住宅施設への開発が可能となりました※。
このおかげで「不動産デベロッパーや資産運用会社などの関心を集めると予想されている」とのこと。
この土地を買って「開発するぞー!」という意欲のあるディベロッパーなどなら、高値をつける可能性がある――というわけです。
ただし、韓国の建設セクターは「極寒」という現状です。そんな中、1兆ウォン突っ込む奇特な企業が出るでしょうか。ご注目ください。
この制度は、画一的な規制から脱却し、創意性や柔軟性を発揮した複合用途の開発を可能にすることを目的としています。
特別計画区域に指定されると、詳細な計画案が策定されるまで開発が保留され、その後、地区単位計画の決定手続きと同様の行政手続きを経て、都市管理計画として確定されます。
この「特別計画区域」に指定されると、以下のようなメリットがあります。
1.開発用途の柔軟性
特別計画区域に指定されると、地域の状況や政策目標に応じて、従来の土地利用規制を緩和し、特定の用途(商業、業務、住宅など)の開発を促進できます。
そのため、本来は住宅用途に適していなかったエリアでも、共同住宅(マンション)の建設が可能になる場合があります。
2.都市計画の見直しと緩和
特別計画区域の設定により、従来の建築基準や土地利用規制が見直されることが多く、容積率や建ぺい率の緩和、建築用途の変更が可能になることがあります。
例えば、もともとオフィスや商業施設しか建てられなかったエリアで、共同住宅や複合開発(住居+商業施設)の建設が認められるケースが増えます。
3.再開発やリノベーションの推進
老朽化した建物やエリアを再開発する際に特別計画区域が指定されることがあります。これにより、既存の建物を取り壊して新たな住宅施設を建設することが可能になります。
(吉田ハンチング@dcp)