2023年03月02日、韓国外交部の定例ブリーフィングで「いわゆる徴用工」問題について、記者からさらに突っ込んだ質問がありました。
以下の先記事でご紹介したものの続きになります。突っ込んでいるのは『イーデイリー』のチョ・ムンジョン記者で、外交部や韓国メディアが求めている「日本の呼応」についてです。
以下に韓国外交部のブリーフィングのプレスリリースより該当箇所を引用します。
(前略)
<質問>
強制徴用賠償(原文ママ:引用者注)と謝罪についてもお聞きします。日本は有償無償5億ドルと一緒に数億ドルを供与したことを知っています。これは、当時日本の外国為替保有額(外貨準備高:引用者注)の4分の1に該当するといわれています。
ところが、この大部分が経済発展に使われたことについて、韓国政府は被害者に公式な声明や談話など公式的な形式で謝罪したことがあるのか、それが気になります。
なぜなら、金大中・小渕宣言以外にも、海部、村山、菅直人首相など、談話を通じて日本が植民地支配について謝罪したことは何度もあったのですが、韓国政府は談話や声明の形で謝罪したことが一度もないと知っていますが、これについて聞かせてください。
そして、韓国政府が模索している合理的な解決策の中には、韓国政府側、韓国政府の謝罪はないのか、それも知りたいです。
(『ニューデイリー』チョ・ムンジョン記者)<答弁>
よくご存知のように、韓国政府は1965年の日韓請求権協定締結後、強制徴用被害者と遺族に対して2回にわたって政府レベルの補償を実施したことがあります。そして、よくご存じのとおり、強制徴用問題の解決のために、韓国政府は日韓の共同利益に合致する合理的な解決策を早急に準備していくために被害者と遺族の意見を直接聞きながら、日韓外交当局間の各級で緊密に協議を続けています。
<質問>
では、おっしゃったことを聞いていると、公式的な談話や声明形式の謝罪はないと理解しますが、それは正しいですか?
(『ニューデイリー』チョ・ムンジョン記者)<回答>
先ほど私が挙げたことを回答に代えたいと思います。⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「外交部の説明(3.2)」
チョ記者は、1965年の日韓請求権協定で韓国政府が入手した有償無償合わせて5億ドル、追加支援の数億ドルが経済発展に使われたことについて、韓国政府は被害者に謝罪したことはないよね――と突っ込んでいます。
日本は、「金大中・小渕宣言以外にも、海部、村山、菅直人首相など、談話を通じて日本が植民地支配について謝罪したことは何度もあった」と指摘。
韓国政府は謝罪すべきではないのか――といっています。
非常に興味深い指摘ですが、この質問に対してまたも外交部はお茶を濁しました。
キミが求める謝罪と賠償
韓国政府は、「いわゆる徴用工」問題について「代位弁済プラン」で正面突破しようとして、やはり「日本の呼応が必要」という点で行き詰まっています。
「日本の呼応」が意味するところは謝罪と賠償に他なりませんが、日本からすれば「1965年の請求権協定で朝鮮半島に対する債務は全て片付いた」という認識ですので、まず賠償は論外。また、強制性を認めたことになりますので謝罪することも論外です。
日本政府が折れないのであれば、韓国の皆さんの意識を「日本からの謝罪がなくても仕方がないか」の方向に向けるしかありません。
今回の質問と回答(前回も)は、いささか出来すぎな感じも否めません。
日本の謝罪を求めて行き詰まっている韓国政府が「日本はこれまで何度も謝罪してきた」という事実を、韓国民にあらためて認識させるために「外交部が仕込んだ」――という邪推はいかがでしょうか。
もちろん、このやり取りをほとんどの韓国メディアが報じないでしょうが。
(吉田ハンチング@dcp)