韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、2023年03月01日「三一節」に歴史的な演説を行いました。
日本のことを特段批判する内容ではなく、日本メディア、アメリカ合衆国政府からも歓迎されるものだったのですが、面白くないのは中国です。
中国は、韓国を自由主義陣営国の最も弱い環と見ており、韓国が中国の衛星国となって当然と考えていますので、韓国が合衆国・日本と仲良くなられては困るのです。
さっそく中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』が、尹大統領の式辞に対して「尹大統領は夢遊病だ」という、一国のTopに対して大変に失礼な記事を上げています。
記事から一部を引用すると、以下のような具合です。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が3・1独立運動104周年記念講演で、日本は地域の経済・安全保障問題で「パートナー」だと発言し、国内から反発を受ける中、中国の専門家は「韓国は外交政策で寝ぼけたことをせず、アメリカ合衆国の手先となるべきではない」と警告した。
(中略)
遼寧省社会科学院の朝鮮半島問題専門家であるリュ・チャオ氏は、「この日は国家の屈辱を示す日である」と言う。
この演説は、尹政権の外交政策が催眠術にかかり、夢遊病のような状態に陥っていることを示す最新の反映であると分析する。
韓国はかつて、中国とアメリカの間のバランスを保つことに注意を払い、その戦略は多くの利益をもたらしていた。
両国が国交を樹立してからの過去30年間で、二国間貿易は72倍にもなった。2021年には3,600億ドルを超えた。
韓国は北東アジアの複雑な情勢の中で重要なプレーヤーであるべきだ。合衆国の手先にならないよう、より安定した形で歩めることを願っている、とオブザーバーは強調した。
(後略)
中国共産党にとっては、03月01日に韓国の大統領が日本をこっぴどく非難しないことが許せないのです。
朝鮮半島の専門家だというリュ・チャオさんに「尹政権の外交政策が催眠術にかかり、夢遊病のような状態に陥っていることを示す」などと罵詈雑言で評させています。
合衆国の手先になるな、としていますが、その理由というのが「中韓貿易は3,600億ドルにも達しているじゃないか」です。
その対中国貿易でもうからなくなっているから、韓国も「そろそろ切りどきかなぁ」と考えているのですが……。韓国 – 中国の貿易は、このまま推移すれば「中国がもうかるようになる」のは自明のこと。
韓国からすると――このまま中国に媚びを売り続けても仕方ないぞ――なのです。
しかし、中国からすると、韓国が中国を見限るような態度をすることは許せません。ただでさえ世界から白い目で見られている寂しん坊の国家ですので。
中国は韓国が完全に自由主義陣営国に入られると困るのです。
そもそも『Global Times』は、中国共産党の意見を反映した観測気球を上げるために存在するようなメディアです。その御用新聞でこのような記事が出るということは「行かないでよう」という悲鳴なのです。
よく(悪く?)いえば、「中国とアメリカの間でバランスを保てよ」です。韓国のコウモリ外交を期待するようなご意見ですが、韓国がそれを行うと中国の思うつぼ。
韓国が「中国と合衆国を手玉にとる天才的な外交手腕」などとうぬぼれると危ないです。朴槿恵(パク・クネ)、文在寅大統領の時代にそれで駄目だったのですから。
(吉田ハンチング@dcp)