2020年10月30日、韓国の国会予算政策処(略称:NABO)は「2021年度予算案の総括分析」で「国会で予算を審議する際に、国家債務(D1)については議論されるが、一般政府の負債(D2)、公共部門の負債(D3)についてはデータがまとまるのが遅く、タイムリーに参照できない」という指摘が出ました。
驚くなかれ、2020年11月になったというのにまだ「2019年のD2、D3の確定値が出ていない」のです。
財政について議論するなら当然、D2・D3が必要です。また、「財政準則を決めようよ」なんて際には国際的な比較のためにもD2が必須です。しかし、韓国の場合には実はまだ2019年の確定値もないのです。
これでは霧の中で方向もよく分からないのに歩き出すのと変わりません。コンパスがないのですから。
この件を報じた韓国メディア『亜州経済(韓国版)』の記事によれば、この集計を担当している企画財政部は以下のように言い訳しているとのこと。
(前略)
企画財政部の関係者は、「中央政府は、ディブレイン(デジタル国家予算・会計システム)があり、すぐに集約が可能だが、D2の指標に含まれている非営利の公共機関は200個を超え、1年に一度収集することも容易ではないのが実情だ」と述べた。
(後略)
いち早くデータを集計できるようなシステムが必要で、これこそ「韓国版ニューディール」で解決すべきことなのではないでしょうか。「デジタル政府」なんて風呂敷を広げているわけですから。
ちなみに同記事は以下のように締めくくっています。
(前略)
予政処は、「国家債務見通しに国民年金などの公的年金の財政収支の赤字は含まれていない」とし「長期財政見通しは、国家債務の増加の見通しは少子高齢化に伴うマクロ経済の減速とこれによる税収の悪化、人口の高齢化の影響に基づく義務支出の増加などに起因したもので、現在の財政システムが持続可能でないことを意味する」と強調した。
つまり、韓国政府の見通しは甘いし、このままではアカンということです。
やはり数字ばかり見ている機関は冷徹で信頼が置けます。なんとかしないと少なくとも次期政権のころには大変なことになります。(もう韓国は折り返し点を過ぎてしまったので実際にはどうにもなりませんけれども)。
(松田ステンレス@dcp)