2023年03月30日、韓国のシンクタンク『韓国経済研究院』(略称「KDI」)が興味深いリポートを公表しました。
「第2回 KDI国家未来戦略会議」においてチョン・ジョンチョル経済展望室長が「長期経済成長率の展望と示唆点」と題して述べたことです。
チョン室長は、韓国の経済成長率が持続的に下落し、2050年には0.5%前後を記録すると予想。しかもこれは、生産性増加率が経済協力開発機構(OECD)上位(25~50%)の平均水準である1%を維持することを前提とした結果です。
韓国の生産性増加率は2010年代に入って0%台まで落ちているのです。
従って、この0.5%という予想も甘いというべきで、実際チョン室長は、2050年の経済成長率は0%になると推計しています。
韓国の皆さんはショックを受けるかもしれませんが、この予測は識者の皆さんがかねてより唱えてきた「韓国は間もなく0%成長に落ち込む」という指摘とそう変わりません。
で、チョン室長はなんといっているかというと、「生産性を高めるための構造改革が急務だ」と指摘。また以下のような提言を行いました。
商品市場への参入規制を緩和する
新成長事業への進出を活性化する
技術力を備えた新興・革新企業に焦点を当てて政策金融を再編すべき
(伸び切った既存企業よりも新企業を優先せよ)
女性と高齢層が労働市場に積極的に参加できる基盤を構築する
外国人人材を積極的に受け入れる
(労働市場に縮小を緩和するため)
残念ながら目新しい提言は特にありません。面白いのは、日本の経済団体と同じように「外国人労働者を入れましょう」といっている点です。韓国は日本よりも急速に老いていきます。
生産労働人口が急速にやせ細るので、日本よりもよほど深刻に人を補充しなければならないのです。
韓国が「跳躍」する?
大変傑作なことに、この「第2回 KDI国家未来戦略会議」のテーマは「改革、そして跳躍」だったのですが、経済成長率が0%に落ちるのなら、「跳躍しないんじゃん!」という話です。
いや、もちろんこのままいけば……の話であって、「生産性を上げれば跳躍できる」というのが主旨なのですが。
しかし、生産性を上げれば経済成長できるというのは当然の話です。
Money1でも何度もご紹介していますが、経済の専門家から指摘されているのは、韓国の「潜在成長率」がどんどん落ちていることです。
潜在成長率というのは「労働力・資本・生産性を活用して、インフレ(物価上昇)を誘発することなく、最大限に達成できる経済成長率の見通し」のことをいいます。
人口が急減していく韓国において「労働力」は減少します。大して資本力がある国でもありません。最後に、韓国は労働生産性の高い国でもないのです。しょっちゅう労働争議が起こっており、外国企業が投資してはうんざりする国です。
労働力、資本力に見込みがないのですから「最悪」とも評される労働生産性を上げるしかありません。
労働生産性が悪いから、韓国企業はみな外国に逃げ、外国企業は投資したがらないのです。
ただ、もし生産性を上げることができたとしても、韓国が「跳躍」できるかどうかは甚だ疑問です。経済成長率が0%に落ちる日はさほど遠くないと予測します。
なぜなら、韓国という国は「事態が急激に悪化する」というのがお家芸だからです。
もう何度だって言いますが、韓国の夏はすでに終わったのです。つるべ落としに秋が終わり、スグにやってくる冬に備えなければなりません。
(吉田ハンチング@dcp)