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韓国「ムーディーズ」と協議! 格付けが落ちると困る

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今年もこの季節です。韓国政府は信用格付会社との協議を行いました。今回は2社目、『Moody’s(ムーディーズ)』です。

『Fitch(フィッチ)』は、先にご紹介したとおり「AA-:安定的」との評価を維持しましたが、韓国政府の負債増などに懸念を表明しています。

韓国政府がこのように信用格付け会社と協議を行って釈明に終始するのは、ひとえに格付けが落とされたら困るからです。格付けが落ちて資金流出が大きくなり、危機的状況に陥るのを避けるためです。

1997年のアジア危機の再来を恐れているのです。韓国では「IMF危機」と呼称しますが、1997年の終わりには、信用格付け会社は情け容赦なく格付けを落とし、韓国のソブリンリスクに対して警鐘を鳴らしました。

格付け墜落によって、資金流出がさらに大きくなったと韓国政府は見ており(恨んでもいる)、信用格付けが下がらないように『Fitch(フィッチ)』『Moody’s(ムーディーズ)』『S&P』の世界的格付け会社3社と毎年協議を行っています。

今回の協議で企画財政部が出したプレスリリースが以下です。一応全文和訳を掲載しますが、面倒くさいでしょうから、強調文字などの部分だけご覧ください。

国際的信用格付け会社『ムーディーズ』(Moody’s)*は、本日、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官への表敬訪問を皮切りに、04月03日(月)から04月05日(水)までの3日間、韓国の年次協議を実施する。

*協議団:ジーン・ファン(Gene Fang)、アヌシュカ・シャー(Anushka Shah)アジア太平洋地域国家格付け副代表、国家格付け韓国担当理事など

コロナ19以降、4年ぶりに行われる今回の年次協議で、『ムーディーズ』協議団は3日間、企画財政部、統一部、行政安全部、金融委員会、韓国銀行、金融監督院などさまざまな機関と会い、経済動向と展望、政策対応などについて議論する予定だ。

一方、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相は本日、『ムーディーズ』協議団と会談し、

韓国経済の動向および展望
「危機克服」および「経済再跳躍」のための2023年の経済政策方向
最近のグローバル銀行危機による金融市場への影響

など『ムーディーズ』側の関心事項について説明した。

まず、秋副総理は、今年に入って世界経済の高い不確実性が続いているが、中国のリオープニング効果が可視化され、先進国経済が緩やかに回復する中、下半期以降、韓国経済が徐々に回復基調を示すと展望した。

また、物価は昨年07月の高値以降、今年02月に4%台まで下落するなど、減速傾向が続いており、消費も回復の流れを続けていると言及した。

これに伴い、韓国政府は内需活性化対策を発表し、消費・観光回復を支え、税制支援を強化して企業投資を促進していると説明した。

同時に、財政準則の立法化など健全財政基調の確立、官民合同の規制革新TFの稼動、労働・教育・年金など3大構造改革、新成長4.0戦略の推進など、韓国経済の中長期的な成長潜在力拡充のための政策努力も強調した。

最近のグローバル銀行危機と関連し、秋副首相は、最近問題となっている海外金融機関に対する国内機関の投資(エクスポージャー)規模は大きくなく、韓国金融機関の健全性と流動性が良好であるため、国内金融・為替市場の安定が続くなど、その影響は限定的であることを強調した。

ただし、グローバル金融市場の不安が再燃する可能性を排除できないため、警戒心をもって状況を注視しており、関係省庁・機関との調整を通じて緊密に対応していると述べた。

『ムーディーズ』側は秋副首相の見解と説明に共感し、半導体法(CHIPs Act)、インフレ削減法(IRA)などに対応した韓国政府と関連業界の中長期的な産業展望と戦略について関心を表明した。

これに対し、秋副首相は、最近のアメリカ合衆国政府の措置により、韓国産業界に与える影響に関する不確実性がかなり解消されたと述べ、今後も関連動向を注意深く見守りながら、合衆国政府と協議を継続していくと述べた。

また、韓国半導体企業の大規模な投資が行われており、政府もこれを支援するため、税制・立地・インフラ・人材育成など多角的な側面から支援していくことを明らかにした。

政府は今後も『ムーディーズ』など国際信用格付け会社と緊密に協議する一方、G20財務長官会議を機に格付け会社および海外投資家との面談などを通じて、韓国経済の動向と主要課題の対応方向などを積極的に説明・共有することで、対外信用度維持に万全を期す計画だ。

『ムーディーズ』の韓国の格付け・見通しは、2015年から史上最高水準の「Aa2-安定的」を維持しており、『ムーディーズ』は今回の年次協議の結果を反映して上半期中に韓国の格付けを発表する予定だ。

⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「副首相、ムーディーズ年次協議会で面談」

『ムーディーズ』と面談する韓国政府側の部署に「統一部」が入っていますが、これは毎度のことで、北朝鮮リスクを計るためです。

秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相が「中国のリオープニング効果が可視化され、先進国経済が緩やかに回復する中、下半期以降、韓国経済が徐々に回復基調を示す」と言っていますが、本当に韓国が「中国のリオープニングによる恩恵」を受けられるのかは疑問です。

「『ムーディーズ』側は秋副首相の見解と説明に共感」と書いていますが、これは韓国政府側の感想であって、本当に共感したかは怪しいところです。リップサービスかもしれませんから。

ご注目いただきたいのは、『ムーディーズ』側が「半導体法インフレ削減法に対応した韓国政府と関連業界の中長期的な産業展望と戦略」に関心を寄せた――という点です。

つまり、「半導体、自動車、二次電池関連で合衆国から制限を受けるが、大丈夫なのか?」と聞いたわけです。韓国は輸出で持っている国で、特に半導体が制限されると間違いなく国が傾きます。

『ムーディーズ』はまさに急所を突いているといえます。

本日04月05日、『ムーディーズ』との協議は終わりますが、どのような評価を下すのかにご注目ください。

(吉田ハンチング@dcp)

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