『韓国電力公社』(以下『韓国電力』と表記)が2022年に史上最悪の業績を叩き出しました。営業利益は「-32兆6,652億ウォン」。ざっくり1/10で日本円に換算しても「-3.3兆円」という非常に悪い結果です。
以下が2019~2022年の『韓国電力』営業利益の推移です。
何度もご紹介していますが、韓国の企画財政部自身が流動性の危機を招くと指摘しているくらいで、一般企業であればデフォルト騒動が起こっています。
親方太極旗の公社ですので、最後は政府が尻拭いをしますので、飛ぶことはありませんが、健全な経営状況に戻さなければ血税を突っ込むことになるのは、言うまでもありません。
最もシンプルな解決法は、電気料金を合理的なものに変えることです。つまりは電気料金の値上げですが、福祉政策の一環というか、補助金の一環というか、韓国はこれまで電気料金を安く据え置いてきたのですが、これがもう限界です。
そもそも「売電価格が原価の約70%にしか過ぎない」という報告が出ており、赤字になるのも当然のことで、この足りない分を社債発行によってまかなうという、自転車操業もいいところな状態に陥っているのです。
※『SBS Biz』の報道によれば、月に4回、平均9日間隔で社債を発行して電力購入代金を調達しています。これが途切れたら「おしまい」です。
電気料金を上げるのは、国民生活のことを考えると難しいのが現状です。景気が悪くなっており、インフレに苦しめられています。
(国会議員の総選挙まで1年を切った政治状況も考えて)韓国政府は、「第1四半期に電気料金の値上げを断行する」としていたのに日和りました(以下記事参照)。
「じゃあ、どうするんだ。放置するのか」――です。
韓国メディア『毎日経済』が、独自の試算を記事しています。以下に記事の一部を引用します。
(前略)
12日、『毎日経済』が国内の証券会社と共に『韓国電力』の財務状態を点検した結果、電気料金を現行水準で凍結し続けると、今年の『韓国電力』の不足資金規模は22兆7,000億ウォンに達すると分析された。それだけ『韓国電力』は債券発行を通じて資金を調達しなければならない見通しだ。
(後略)
同紙の試算では、2023年に『韓国電力』が調達しなければならないお金が「22兆7,000億ウォン」、約23兆ウォンとなっています。
『韓国電力』が社債を発行し続けているので、他の企業が割りを食います。なにせ公社なので、信用格付はトリプルAで資金が『韓国電力』にばかり回ってしまうのです。韓国の債券市場の7割が『韓国電力』発行の債券になっている――という報道があるぐらいです。
電気料金を上げて解決しなければ、『韓国電力』の財務状況を良くすることはできず、債券市場の流動性を高めることができません。
韓国政府が放置すればするだけ、状況は悪くなります。八方塞がりです。
(吉田ハンチング@dcp)