中国の地方政府は債務過剰と税収不足で首が回らなくなっています。
こういう状況になると企業だろうが政府機関だろうが、考えることは同じです。「固定費の削減」です。また、こういう不景気で経費削減となると、真っ先にターゲットになるのは「非正規雇用」の皆さんです。
赤字の湖北省、石燕市では、2023年04月10日に、「非正規職員の管理を標準化するため新しい道を探る」という文書を発表しています。同市には、67の局、177部署に3,400人の非正規雇用者がいます。整理・管理によって326人減少、約1,500万元の財政コストを削減することができた――としています。
政府機関にとっては、コスト削減かもしれませんが、雇用を来られる側からすればたまったものではありません。
また、大赤字として知られる「雲南省」の楚雄市は、2023年の部門予算編成指示書で政府機関が雇用している非職員の整理と標準化を促進する必要がある――と述べています。
同市の公式データによれば2022年10月30日時点で、政府機関の非正規職員の従業員265人が削減され、削減率は6.5%、財政支出は361万4,300元を削減しました。
このような非正規職員の解雇・整理は、中国地方政府で拡大する動きを見せています。
また、労働単価が安くなっています。
例えば『Radio Free Asia』は、中国のある大学で司書を募集したのですが、その月給というのが2,280元だったというのです。
ここから、5つの社会保険(年金保険、医療保険、失業保険、工商保険、出産保険)を差し引くと、月給は1,800元(約3万4,830円)になります。
このような金額では、とても暮らしていけません。にもかかわらず、この募集に対して2,000人以上の履歴書が届き、応募が殺到した状態だというのです。中国のSNS『Weibo』ではこの司書の仕事について激しい議論が沸き起こりました。
先にご紹介したとおり、中国では今期、大学卒業生が1,158万人です。彼らを吸収するほどの職があるとは到底思えない状況です。大学卒業・即失業という状況が大学卒業予定者を待っています。
若い失業者の怒りが中国共産党に向かってもおかしくありません。
(吉田ハンチング@dcp)