中国で若者の失業が大きな問題になっています。大学を卒業しても職がないのです。
中国全土に大学があり過ぎ、大学卒業者が普通になってしまったのが原因でもありますが、「大学卒業 = 失業だ」と嘆きの声を『Weibo』などのSNSに上げる若者が顕著に増えています。
大学生前途未卜,毕业即失业。 pic.twitter.com/NaahuXcyMI
— 真相傳媒 (@TruthMedia123) March 24, 2023
↑「大学生前途未卜,毕业即失业。(大学生の将来は不透明で、卒業と同時に無職になる。)」と嘆く「真相传媒」さんのTwitterの動画
上掲の若者は就活中のようですが、「月収3,000元(約5万7,660円)※の仕事を見つけるのがやっと」で、それ以外に何もできず「大学生は間違いなく社会で最悪の人間だ。キャリアが何もない。卒業は無職を意味する。適当な仕事がない」「未来が全く見えない」と慨嘆しています。
修士号以上が必要な北京の金融アシスタント研修生の募集では、1日80元(約1,538円)しかもらえず、「警備員の方が稼いでいる」とも述べています。
大学生は大晦日に実家に帰るのを嫌がり、親戚から年収や結婚の時期を聞かれても「答えようがない」とのこと。肉体労働をして生きていくことも選択しにくく、なぜなら「出稼ぎ労働者を育てるのに、こんなにお金がかかったのか」と周囲から罵声が浴びせられるからです。
この大学生の受難は、『清華大学』や『北京大学』といった、中国を代表する名門大学の学生ですら、さほど変わりません。
※1元 = 19.22円で換算
中国の公式統計によると、2022年の中国の大学卒業者は1,067万人に上りますが、『关键中国真相网』によれば、就職率は「15.4%」に過ぎないと推計しています。中国都市部の16~24歳の失業率は、2022年07月に「20%」に迫り、2023年01~02月の平均は「18%超」(「そんなもので済むか」の声があります)。
2023年の大学卒業者の人口は1,158万人が予定されており、失業率が高止まりで減少しなければ、職がない若者が今よりも確実に増えることになるのです。
若者の職がないのは、中国共産党政府が自分で首を締めているという面があります。
読者の皆さんもご存じのとおり、非習近平派の牙城だったIT産業(『ANT』など)を締め付け、教育産業を事実上全滅に追い込み、エンターテイメント産業を抑制した結果、大幅に雇用が消滅したのです。
おまけに、不動産産業が瀕死の状態です。コロナ禍のロックアウトも効きました。
中国のSNSを見ると、大学生の皆さんの嘆きの中に「“大规模学生失业是社会动荡重要因素之一”」(学生の大量失業は社会不安の重要な要因の一つ)とあって、これは全くそのとおりです。
若者の嘆きは深刻ですが、学生の不満が高まって大規模なデモなどに発展したら、習近平中国共産党は力で押さえつけにかかるでしょう。習近平総書記は、かつてのように「下放」で若者を農村に送り込むのでしょうか。中国共産党がどうするのかはかなりな見ものです。
(柏ケミカル@dcp)