また一つ……です。
2024年04月08日、中国の不動産ディベロッパー『世茂集団』は、「04月05日に『中国建設銀行』が香港高等法院に対して同社の会社清算を申し立てた」と公表しました。
提出された書類によると「15億7,950万香港ドル」(約306億円)の債務再編問題が絡んでのことです。
財務報告書を見ると、2023年末時点で、同社には2,640億元の借入金があり、このうち1,994億元は、1年以内に返済しなければならない短借で、しかし、現金は214億元しかないのです。
※2024年03月28日時点で満期を迎えていない短借が「1,741億元」ある――と報道アリ。
借り換えできるのであればいいですが、金融機関が「うん」といわなければ、また他に資金調達の方法が途絶した場合には即アウトな状況です。
この『世茂集団』は、2020年には中国不動産業のTop10に入っていたこともありますが、『Reuters(ロイター)』が世界最大級の投資銀行『ドイツ銀行』が、『世茂集団』の清算を香港の裁判所に申し立てる準備を進めている――と報じたことがありました。
さかのぼると『世茂集団』は2022年07月、10億ドルのオフショア債券の返済を履行できず、デフォルトを引き起こしています。このため、『世茂集団』の117億ドルのオフショア債が全部債務不履行に陥ったとみなされました。
誘爆の「クロス・デフォルト」です。
今回の「精算」は、申告どおり進めば、中国にしては珍しいケースかもしれませんが、これもまた落日の帝国の一コマといえるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)